京都市伏見区と山科区にまたがる大岩山(おおいわやま・標高182m)は気軽に登れる低山である。周辺には桃山御陵(ももやまごりょう)や伏見桃山城といった歴史を感じられるスポットがあり、登山口に着くまでも観光しながらのんびり歩けるのも魅力だ。

 今回は、桃山南口駅からスタートし、歴史ある名所をめぐって大岩山の展望台まで歩いた体験を紹介する。時間にして2時間程度なのでしっかり体を動かしながら、自然と文化にふれてリフレッシュしたい方にぴったりのコースである。

■最寄駅から桃山御陵へ

歴史的な重みを感じる桃山御陵

 桃山御陵は、正式な御陵名は伏見桃山陵(ふしみももやまのみささぎ)といい、明治天皇が埋葬されている陵墓である。その場所は、かつて豊臣秀吉が築城した伏見城の本丸跡地にあたり、戦国と明治という二つの時代で要所となった歴史的なスポットだ。

 最寄りの京阪電気鉄道宇治線・桃山南口駅から徒歩約10分で入口に到着し、そこから230段の大階段を上って御陵へ向かう。境内から見える鳥居と前方後円墳は、近くでは見ることができないものの、遠目で見ても雄大で神聖な雰囲気を感じられた。

 また、振り返ると京都市を見渡せる景色が広がっており、心が洗われるようであった。御陵内は広い敷地の中に合計3つの古墳があり、それぞれは木々に囲まれた参道で結ばれているため、散歩しながらリフレッシュをするのもおすすめである。

■伏見桃山城で名将に思いを馳せる

迫力のある伏見桃山城の模擬天守

 桃山御陵から山林の道を歩くこと約30分、木々に囲まれた静かな道の先に現れるのが伏見桃山城である。もともとは伏見城と呼ばれ、豊臣秀吉の隠居後の住まいとして築かれた城だが、一度焼失したのちに徳川家康によって再建されたという歴史のある城である。元禄時代ごろまで周辺に桃の木が植えられたことから「伏見桃山城」と呼ばれるようになった。

 現在の天守閣は、かつてこの地にあった遊園地「伏見桃山城キャッスルランド」に造られた模擬天守で、秀吉や家康が築いたものとは場所も形も異なるが、姫路城や彦根城を参考にして造られたという美しい姿は今も多くの人を魅了する。時代を超えたロマンを感じるスポットである。

 また、周辺には「伏見桃山城運動公園」が整備されており、春の桜や秋の紅葉など四季折々を感じられるのも魅力である。伏見桃山城を見て歴史に思いを馳せながら公園を散策するのもいいだろう。