山梨県の笛吹市にある、地域住民に親しまれている里山、兜山(かぶとやま・標高913m)は、山容が戦国武将がかぶる兜に似ていることからその名が付き、山梨百名山にも選定された人気の低山だ。

 標準コースタイムは1時間15分程度、歩行距離は約3.2kmと、短時間で周回できるのが魅力のひとつ。山頂は樹林に囲まれて展望は控えめだが、山頂から数分の場所にある岩場の展望地からの景色は圧巻だ。ここは「関東の富士見百景」に選出され、甲府盆地越しの富士山と御坂山地が一望できる。春は桃の花でピンクに染まり、初夏は新緑、秋はコナラやアカマツの鮮やかな紅葉と、1年を通して景色を楽しむことができる。

 ルートの一部にクサリの付いた急斜面や大きな岩場があり、里山ながら適度なスリルも味わえる。安全第一で通過すれば、初心者から中級者まで山頂の展望を満喫できるおすすめスポットだ。

■わずか2時間半で周回OKの兜山登山! 

兜山登山口駐車場から2時間半で周回可能なコース(国土地理院地図より引用)

●兜山登山口駐車場へのアクセス

動物避けのゲートは手動で開閉可能。車も通行OKだ

 マイカー利用の場合は、中央道・一宮御坂(いちのみやみさか)ICを降り、春日居(かすがい)・石和(いさわ)方面へ。県道314号を直進し「春日居小前(かすがいしょうまえ)」で国道140号方面へ左折、春日居ゴルフ倶楽部の案内に従い林道を進む。

 ゴルフ場手前の「兜山登山口」標識で脇道へと入り、獣害防止ゲートを抜け、舗装林道を進むと観音像の先にある「兜山登山口駐車場」(無料・約5台)に到着。週末は満車率が高いので早着が望ましい。

 公共交通機関を利用する場合は、JR中央線・春日居町駅が最寄り駅となる。駅から登山口までは徒歩約90分、タクシー利用なら20分が目安だ。

●標準コースタイム

【兜山登山口から兜山周回コース】所要時間
兜山登山口(0:00)→ 尾根分岐(0:40)→ 兜山山頂(1:20)→ 展望スポット(1:25)→ 兜山登山口 (2:20)
歩行距離:約3.2km
累積標高差:登り400m、下り400m
合計所要時間:2時間20分

■関東富士見百景選出の山梨百名山「兜山」で紅葉狩り

標柱の立つ山頂には展望がないが、近くに富士見展望スポットがある

●兜山登山口から樹林帯を進み、尾根分岐へ

静かでなだらかな樹林帯歩きから始まる登山道

 駐車場で準備を整えたら、案内板に従って登山口へ。はじめは植林帯の緩やかな山道で、沢音に癒されながら歩ける。体が温まってくる頃、徐々に勾配がキツくなりはじめ、コナラやアカマツが増え雰囲気が一変する。木の根が張り出し、朝露で滑りやすくなっているので注意しよう。

 登山口を出発して40分ほどで尾根道に出る。景色の開けるポイントもあるので、小休止にもぴったりだ。ここからは山頂方面と岩場方面の分岐が現れるが、山頂方面へと進もう。

●アップダウンのある尾根歩きを経て兜山、兜山山頂へ

尾根に出ると、ところどころで視界の開ける場所に出くわす

 尾根は適度なアップダウン。やがて勾配が落ち着くと兜山山頂に到着する。木立に囲まれているため眺望は控えめなので、少し休んだら山頂から数分の“展望スポット”へ向かおう。岩の上に出ると一気に視界が開け、甲府盆地と富士山の大パノラマが待っている。関東の富士見百景にふさわしい絶景だ。景色に目を奪われてしまうが、足元は岩の縁で切れ落ちている箇所があるため、足元に注意しながら景色を楽しもう。

展望スポットでは「関東の富士見百景」の看板が立てられている