甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)は、山梨・長野・埼玉の3県に跨る日本百名山のひとつで、標高2,475m。一説では、山名は「甲州(こうしゅう)」「武州(ぶしゅう)」「信州(しんしゅう)」の頭文字を取ったものと言われており、地理的境界をつなぐ象徴的な山といえる。山頂からは各方面が一度に見渡せるパノラマ絶景が広がっていて、日本百名山のうち40座以上が見えるというのだから驚きだ。

 甲武信ヶ岳山頂へと至るコースはいくつか整備されているが、比較的なだらかな傾斜と整備された登山道が続く、ビギナーから中級者まで安心して歩ける長野県側の「毛木平(もうきだいら)」登山口からのコースを紹介したい。

 登山道では、鬱蒼とした樹林帯から開放的な稜線へと風景が変化する。その道中には、日本最長の河川「千曲川(ちくまがわ)」の源流地というレアスポットも存在しており、自然の神秘を感じられる。

 そして山頂に立てば、南・北・中央アルプス、八ヶ岳、さらに富士山まで、百名山の名だたる山々が四方を囲む壮大なパノラマが広がる。

■毛木平から千曲川源流を経て、甲武信ヶ岳へ

毛木平駐車場から甲武信ヶ岳へと通じるピストンコース(国土地理院地図より引用)

●毛木平駐車場へのアクセス

 甲武信ヶ岳へと至るコースで、多くの登山者に利用されているのが、標高1,390m地点の長野県川上村(かわかみむら)に位置する「毛木平登山口」である。その登山口に隣接する駐車場は、トイレや案内板が整備されており、無料で利用できるのも大きな魅力だ。

 さらに、アクセスの良さも見逃せない。中央自動車道・須玉(すたま)IC、または中部横断道・八千穂高原(やちほこうげん)ICを降り、1時間から1時間30分ほどで到着する。首都圏からの日帰り登山や1泊2日の登山計画にも組み込みやすい立地だ。

●標準コースタイム

【毛木平駐車場から甲武信ヶ岳ピストンコース】所要時間
毛木平駐車場(0:00) → 大山祇大神 (0:35) → 千曲川源流地点 (3:20)
→ 甲武信ヶ岳 (4:05) → 甲武信小屋 (4:20)→毛木平駐車場(7:30)
歩行距離:約14.3km
累積標高差:登り 1,078m、下り 997m
合計所要時間:7時間30分