アウトドアブランドの「コロンビア」は2024年11月、札幌市と包括連携協定を締結した。コロンビアのアウトドアの知見と札幌市内および近郊の自然を生かし、地域の活性化を狙いつつ持続可能な世界都市を目指すものだ。

 連携協定の取り組みとして企画されたアウトドアプログラムが「Columbia OUTDOOR ACADEMY for Beginners 2025」。主にアウトドア初心者を対象に、アウトドアアクティビティへの一歩を踏み出すためのきっかけづくりや自然の魅力を伝えていく。

 2025年9月6日には、小樽市の塩谷丸山を舞台とする登山バスツアーが開催された。当日は定員いっぱいの12名が参加し、全員無事に登頂を果たした。塩谷丸山は標高629mと、低山でありながら頂上付近からの展望がすばらしい。また、登山道には所々起伏があるため、中級者以上でも十分手応えを感じられるのも特徴のひとつ。ここではツアー当日のようすを写真を交えながらレポートする。

■「地図読み」をテーマに登頂開始

 「Columbia OUTDOOR ACADEMY for Beginners 2025」のプログラムは、2回の机上講習を含む全5回。フィールドでのプログラムの3回(7月・9月・10月)は、すべて札幌駅の北口を発着とする日帰りのバスツアーとなっている。

札幌駅の北口ターミナルから、バスに乗車する参加者

 今回のツアーで舞台となった塩谷丸山は北海道の小樽市に位置する山で、小樽湾の塩谷海岸からほど近く、札幌から高速で1時間弱とアクセスも良い。登山道も比較的歩きやすく1時間半ほどで登れるため、初心者にも人気の山だ。

 当日は7時30分に札幌駅北口のバスターミナルを出発し、8時30分頃にはJR塩谷駅前のロータリーで下車。各自準備を済ませてから、塩谷丸山の登山道に向かった。

登山開始前にバックパックの適切な背負い方やパッキングについてレクチャーがあった

 JR塩谷駅から徒歩15分ほどで、登山道の手前にある駐車場に到着。そこから5分ほど歩くと登山道に辿り着く。

JR塩谷駅近くの踏切を渡り、登山道へと向かう参加者
登山道の入り口付近のようす。本ツアーでは同行しているツアーリーダーが登山届を提出してくれる

 9時20分、登山開始。ツアーでは「地図読み」がテーマに設定され、行きの車内で配布された紙の地図をもとに、現在地の確認方法についてレクチャーを受けながら歩き進んだ。また、車内ではコンパスが示す「磁北」と一般的な地図における「北」には若干のズレが生じるため、補正するための「磁北線」に関する説明もあった。

 コース序盤は、シラカバやダケカンバといった落葉紅葉樹に囲まれ、比較的平坦で歩きやすい登山道が続く。

一列に並び歩みを進める参加者。参加者の年代は20代から70代まで、幅広い年齢層だった

 登山を開始してからおよそ1時間。後半に差し掛かるところで急登ポイントがある。足元はゴツゴツとした大きめの岩が並び、登山客も慎重に登っていた。

中盤を過ぎたあたりの蛇行しながら登る急登ポイント。地図で確認すると等高線の幅が狭くなっていた

 急登ポイントを抜けると草原地帯となり、頭上の景色も開けてくる。途中で休憩を取りながら、地図を開いて現在地を確認する。参加者も徐々にコツをつかみ、現在地に時刻を記入していた。

休憩を取りながら地図を広げ、現在地を確認する参加者。等高線の幅や地図上に記載されている標高、登山を開始した時刻と現在時刻などの情報を頼りにする
急登ポイントを抜けると森林区間が終わり、空が開けてくる

■展望台では海・山・街のすばらしい眺めが広がる

 この日は9月でありながら真夏のような日差しが登山客を苦しめていたが、時折吹き抜ける風はややひんやりとして秋らしさも感じられた。

イナカギクがきれいに咲いていた
最後の急登ポイント。すれ違う下山中の登山者からの「山頂まであと少しですよ!」という声をはげみにもくもくと登る

 山頂目前で最後の急登ポイントがあらわれる。距離にして20mもないが、登山者の呼吸が荒くなる。登山を開始してからおよそ1時間半。参加者全員が無事に登頂を果たした。

山頂の標識を前に写真を撮る参加者。安堵の声と歓声があがっていた

 山頂の標識から少し奥に進むと展望台があり、日本海や小樽や札幌の街並みが目の前に広がる。南側には羊蹄山や、西側の余市方面には海上に細長くそびえたつ「ローソク岩」、積丹半島、余市の尻場山を眺望できた。

展望台からの眺めがすばらしいだけでなく、腰をかけやすい岩があり、食事をしながらゆっくり休憩できる

 ツアー参加の前に富士山に登ったという70代の男性は「展望台からの景色が最高だった。タイミングが合えば別のツアーにも参加したい」と満足げに話していた。

 50代の女性は「ガイドさんがついてくれるので安心して登れました。景色を楽しむだけでなく地図の読み方を教えてもらったり、お花の名前を教えてもらったり、エゾリスを発見したり、1人では気がつくことができないようなことに気づかせてもらえました」とコメントした。

最後に集合写真を撮影し、下山後は温泉で汗を流した

 札幌からのアクセスもよく、すばらしい景色が広がる塩谷丸山。低山でありながら森林に囲まれる心地よい登山道だけでなく中盤と終盤の急登ポイントなどメリハリがあるため、その人気が伺えた。秋の紅葉シーズンもおすすめの山だ。

 コロンビアアウトドアアカデミーのバスツアーは、10月5日の樽前山が最終回。次年度も継続予定。

プログラムの詳細・申込は下記の特設サイトから