アウトドアブランドの「コロンビア」は2024年11月、札幌市と包括連携協定を締結しました。コロンビアのアウトドアの知見と札幌市内および近郊の自然を生かし、地域の活性化を狙いつつ持続可能な世界都市を目指しています。

 その連携協定の取り組みとして企画されたアウトドアプログラムが「Columbia OUTDOOR ACADEMY for Beginners 2025」。主にアウトドア初心者を対象に、アウトドアアクティビティへの一歩を踏み出すためのきっかけづくりや自然の魅力を伝えるものです。

 2025年10月5日には、北海道・千歳市のイチャンコッペ山を登るバスツアーが開催され、当初は苫小牧市の樽前山に登頂する予定でしたが、雨の影響により道路が通行止めとなり、開催2日前に急遽イチャンコッペ山に変更。変更がありながらも、当日は定員いっぱいの12名が参加し、全員が無事に登頂を果たしました。

 イチャンコッペ山(標高829m)の目前には恵庭岳や支笏湖、またその向こう岸にそびえる風不死岳と樽前山を視界におさめることができます。なかでも8合目付近からの展望は特にすばらしく、このルートのハイライトといえます。当日は絶好の登山日和の中、往復約4時間半の山行となりました。ここではツアーの様子を写真を交えながらレポートします。

支笏湖の向こう岸に見えるのは、風不死岳と樽前山

■可愛い「アニマル標識」が人気!

 「Columbia OUTDOOR ACADEMY for Beginners 2025」のプログラムは、2回の机上講習を含む全5回。フィールドでのプログラムの3回(7月・9月・10月)はすべて札幌駅の北口を発着とする日帰りのバスツアーとなっています。

当日は札幌駅の北口ターミナルに集合した

 今回のツアーで舞台となったイチャンコッペ山は、北海道の千歳市に位置し、札幌から一般道で1時間弱とアクセスも良く、人気の山。また、登山道に設置されている山頂までの目安を示す標識がユニークで、それを見るために訪れる登山者もいるそうです。

ツアーリーダーを務めるりんゆう観光の植田拓史氏

 当日は7時30分に札幌駅北口のバスターミナルを出発。行きの車内ではイチャンコッペ山の紙の地図が配布され、ツアーリーダーの植田拓史氏から地図読みに関する簡単なレクチャーがありました。

 植田氏は「地図は一般的に上が北側と認識していると思います。ただ、コンパスが実際に示す『北(磁北)』と『地図上の北(真北))』には若干のズレが生じます。そこであらかじめ地図上に引いておくと便利なのが『磁北線』です。国土地理院の地図を確認すると、イチャンコッペ山では偏角が『9°10’』と表示されます。縮尺に合わせて2km幅に複数の線を引いておくと距離感覚も掴みやすいのでおすすめです」と説明します。

 参加者からは「普段は地図の読み方を学ぶ機会がないのでありがたい」という声があがっていました。

準備体操をする参加者たち

 トイレ休憩をはさみ、8時40分に登山道入り口付近に到着。支笏洞爺国立公園の見晴らし展望台のスペースを借り準備体操を済ませ、出発に備えました。当日は天候にも恵まれ、終始快晴。北海道の10月としては汗ばむ陽気で、最高気温は平年よりもおよそ5℃高い25℃でした。

登山口。山頂までの距離も記載されている

 9時過ぎに登山開始。イチャンコッペ山の登山道は山の南側からスタートし、往復する1コースのみです。

 序盤から急登が続きます。登山道に大きな岩などは少なく、比較的登りやすいですが、暑さもあり、「もう少し薄着でスタートすればよかった」と息切れしながら服装の後悔をする参加者が目立ちました。ツアーの参加者は40〜70代で、そのうち7割は女性。この日の往復では国内の登山者はもちろんのこと、外国籍のグループともすれ違い、何組もの方々が登山を楽しまれていました。

登山開始早々に急登が続き、参加者の呼吸が荒くなる

 スタートしてからおよそ1時間。3合目付近で10分ほどの小休憩。紙の地図を広げ、現在地を確認します。参加者同士でも、紙の地図を広げて「現在地はこのあたりかな」と確認し合っていた光景が印象的でした。3合目から6合目あたりまではアップダウンを繰り返しながら歩き進みます。

地図で現在地を確認する参加者たち
リスの標識を撮影する参加者 

 7合目あたりから一部の区間で再び急登ポイントが続きます。ヘビやウサギなどの動物をあしらったユニークでかわいい標識に癒されながら登りますが、終盤になるにつれて、参加者の呼吸も一層荒くなっていました。

終盤に向け、もくもくと歩き進む参加者
この日は運良く終始快晴でした