9月に入っても依然として猛暑が続いています。まだまだ夏は終わらなさそうです。山や川、湖や海など自然のフィールドへ出かける機会も多いでしょう。
登山をはじめ、アウトドアアクティビティには、それぞれに適したアイテムがあります。そのなかでも地味な存在が靴下、ソックスではないでしょうか。実は重要な役割を果たしてくれるソックスは、アクティビティに熟練するほどこだわりが出てくるアイテムでもあります。
各アクティビティに適したソックスは各社、多くのブランドから様々なモデルが展開されていることからも、その重要性がわかりますね。そんななか、“防水ソックス”なるものがあるのをご存知でしょうか。
ニッチな存在ですが、使い方次第でフィールドでおおいに活躍してくれそう。本格的に導入しようと思い、“DexShell(デクシェル)”の3タイプを夏の2か月間、さまざまなアクティビティで試してみました。
■メリノウールを使用した“DexShell(デクシェル)”のベストセラーモデル! 「サーモライト」を登山で使用
“DexShell(デクシェル)”のラインナップ中、登山に適した「サーモライト」は、アウター、ライニング、インナーによる防水透湿三層構造の防水ソックスです。ライニングのポレール防水透湿フィルムで水をシャットアウトしているのですが、インナー生地にはメリノウールが使用されています。メリノウールは保温性に優れ吸水速乾性、温度調整機能もあるので寒い野外での作業や、アウトドアアクティビティにも最適です。
最近の登山靴、トレッキングシューズはライニングに防水性と透湿性を併せ持つゴアテックスを使用したものが主流になっており、防水性が非常に高いです。実際、筆者が履いている登山靴はすべてゴアテックスが使用されています。
しかし、防水性の高い登山靴を履いていても、毛細管現象で伝わってきた水分などで長時間風雨に晒されていれば、靴の中までずぶ濡れになることがあります。使用の仕方によってはライニングが破れ、防水性がなくなってしまうケースも……。
数日間にわたる縦走、とくにテント泊での山行では、もし靴の内部まで濡れてしまうとほぼ乾かすことが不可能になります。実は以前、北海道で1週間ほど縦走したときにずっと天気が悪く、靴が濡れたまま長時間行動する日が続き、最終的に“塹壕足(ざんごうあし)”になってしまって苦しい思いをしたことがあります。もちろん、からりと晴れた一日、宿泊地で靴をしっかりと乾かせるなら別ですが、そんな天候なら普通は先へ進みますよね。防水ソックスを履いていれば、二重で防水できるので安心感が違います。

この夏、「サーモライト」を南アルプスの北岳登山で2日間試してみました。ずっとガスのなかを行動するような天気だったのですが、運良く? 雨に降られることがなかったためにその真価を実感する機会はありませんでしたが、履き心地は問題なく程よいクッション性で快適な山歩きを楽しめました。非常に暑い時期だったのですが、蒸れすぎることもなく透湿性も問題ないことを実感しました。
北アルプス、白馬三山を巡る登山では、3日間のうち初日と2日目はわずかに雨に降られただけでしたが、最終日は激しい雨風に晒されての下山となりました。時間が経つにつれ、じわじわと靴の内部も湿ってきましたが、「サーモライト」を履いている足が濡れることはありませんでした。

脱ぎ履きのしやすさも特筆すべきかもしれません。ライニングは張りがあるのですが、その形状が立体的なおかげでストレスなく着脱ができます。それでいてフィット感は秀逸で、歩行中にズレることもなくしっかりと足をホールドしてくれていました。
僕は靴下だけは毎日履き替えたいのですが、一足しかないために最長3日間履き続けました。山小屋に着いたらすぐに脱いで裏返して干しました。下山後に脱いでも(個人的には)まだいけそう。メリノウールの消臭効果がありがたかったです。