みなさんは、キャンプ中や登山中に野生動物に遭遇したことがあるだろうか。近年では、サルに襲われたりクマに遭遇するなど、野生動物による人への被害がニュースでも取り上げられている。危険な動物といえば、サルやクマの他にイノシシやヘビ、さまざまな虫を想像する人も多いだろうが、実はシカも油断ならない存在である。

 本記事では、筆者がキャンプ中に実際にシカと遭遇した体験をもとに、遭遇した要因や万が一遭遇した際の対処法、注意点について紹介する。安全にアウトドアを楽しむための参考にしてほしい。

■夜中、突然の襲来!  テントの周りに残された犯人の痕跡

深夜に遭遇するシカは、不意に突進してくる可能性があるため要注意

 静まり返った山間のキャンプ場で就寝中、突如「ドン」という衝撃音がテントに響いた。驚いて飛び起きた筆者は周囲を確認したが気配はなく、既に何かが走り去ったあとだった。周りのテントの人々は寝静まったままだったので、筆者のテントのみにぶつかったようだ。既に生き物の気配はなく、衝突から逃走までが一瞬だったため、夢かと思ったほどである。

 翌朝、テント付近には足跡が残されており、確認すると山から下りてきた野生のシカであることが判明した。幸いケガはなかったが、シカの踏みつけた場所が悪ければ人間に当たっていた可能性もあったこと考えるととても恐ろしい出来事であった。

●テントにシカが襲来した原因

山道ではシカが飛び出してくる危険もある

 思い返すと、シカが出没しそうな兆候はいくつもあった。キャンプ場へ向かう道中ではシカを目撃していたし、設営場所にもシカの糞が落ちていたのだ。テントを設営している明るい時にも「フィーョー・フィーョー」というオスジカが縄張りを争っている声も聞こえていた。

 明らかにシカが活発に行動しているエリアに入り込んでいたにもかかわらず、人の気配があれば近寄ってこないだろうと考えていた油断が、最大の原因であったといえる。