山小屋の営業を始めて、今年で4年目。そろそろ「運営は順調です」って言いたいところだけれど、私の人生は安定や順調という言葉とは程遠い。何が起こるかわからない。まさか、シーズンイン直前にアキレス腱が切れるだなんて。
アキレス腱って、突然切れるんですね。しかも、しっかり綺麗に、潔く切れた。私らしいといえばらしいが、たくさんの人に迷惑をかけました。小屋にも上がれないし、日常生活を送るのに精一杯な毎日です。

■まさか、まさかの人生ですね

「バアーン」
切れた瞬間から、頭の中は山小屋のことだけだった。
怪我をしたのは出先の広島だった。どうやって地元の長野まで帰るかとか、心配しないといけないことはたくさんあったのだけど、「どうしよう、今シーズンの山小屋……」という思いで頭が一杯になった。
じつは、今シーズンは6月からの営業開始を目指していた。怪我をしたのは5月半ば。10日後には光岳に上がる予定で、一旦下りたらすぐに川根本町に移動、またすぐに忙しく入山してヘリ荷上げ準備。そして、オンラインで小屋の予約開始。珍しく事前の計画はバッチシで、できそうなイメージもあった。
私には珍しく、計画的に動けていたせいか? 慣れないことをしたせいなのか? なんてこった!
■アキレス腱断裂、全治半年!

緊急医にお世話になった翌日、診察に再度病院に向かった。昨晩の先生は、触診で「ああ、切れてると思いますよ」と言っていたけど、まだレントゲンは撮っていない。私は包帯にグルグル巻かれた右足をさすりながら、「切れてなくてもいいからね」と念を送る。しかし、願い叶わず。
診察中に先生から「明日、手術できるけどどうです?」と提案があった。私のアキレス腱は完全に切れているので、時間の経過とともにどんどん離れていくとのこと。今、この瞬間も離れているなんて、なにそれ、怖い。
自宅のある長野まで戻るにしても、移動の時間中、私はアキレス腱が離れていくことばかり考えてしまいそうだ。アキレス腱が切れたまま帰るのはちょっとな〜、それに長野ですぐに手術できるとも限らない。