■子授地蔵に挨拶し、登山道へ

ここから登山道へと足を踏み入れる
子授地蔵に手を合わせて出発

 準備に時間をかけ、8時、ゆっくりと出発。

 登山口にある子授地蔵に挨拶をし、登山道に足を踏み入れる。道は原っぱにつけられたひと筋の踏み跡のように続き、田舎の農道を思わせる。序盤は、はじめに3つ4つ、ささやかな登り下りが続き、その後は、平坦な縦走路がずっと続いていく感じ。

 何が面白いって、目に映る、道の両側を囲む森の景観の移ろいだ。雑木林、そして、広葉樹林、針葉樹林と、ほどよいインターバルでロケーションが入れ替わる。勢い盛んなシダの群生や八ヶ岳を彷彿とさせるような苔の密生も目に鮮やか。どこから飛んできたのだろうか、点在する岩の塊も野趣を盛り上げてくれる。

 そして、この日の霧立ち込める天気も森の魅力を幻想的に演出してくれた。

雑木林に囲まれる序盤の登山道
見上げる針葉樹が立ち並ぶ区間
勢い盛んなシダ類の群生

 そうこうしているうちに新道・旧道の分岐点へ辿り着いた。往路には目の前の小ピークを緩やかに直登する新道を選んだ。復路は小ピークを迂回する旧道にしよう。少々、登りに物足りなさを感じていたので、ほどよい傾斜となった。

新道・旧道の分岐点
フィールドには岩がゴロゴロ点在

 「的石(まといし)」があったのは分岐点の先。ヤマトタケルが弓矢の練習に使ったという。夢窓国師(むそうこくし)もこの山を修業の地としたそう。ささやかなコース上なのに、ちょっとした歴史譚まであるのだ。

なるほどマトにしたくなる「的石」
ほどよく移ろう景観が目に楽しい
ヤマオダマキ
トリアシショウマ