巻機山(まきはたやま)は、群馬県と新潟県の境にある山で、4つのピークの総称だ。標高1,967mの巻機山を最高峰に、前巻機(まえまきはた)、割引岳、(わりめきだけ・われめきだけ)、牛ヶ岳(うしがたけ)で構成され、日本百名山に名を連ねている。

 巻機山は山頂にいくほど傾斜が穏やかになり、長い登りとなる。9合目の「ニセ巻機山」まではタフな登りが続くが、それだけの価値がある景色が広がっている山である。

■長く続くタフな登り、9合目「ニセ巻機山」へ

 都心から関越自動車道を利用し、石打塩沢ICまで約2時間15分。さらに約30分ほどで巻機山登山口のある桜坂駐車場に到着した。巻機山登山口からのピストンルートは往復の所要時間が約8時間かかるロングルートなため、早朝の出発がマストだ。

 巻機山登山口を出発するとさっそく分岐があり、「尾根コース」と「ヌクビ沢コース・天狗尾根コース」に分かれている。筆者が訪れた時はヌクビ沢コース・天狗尾根コースは雪渓の状態が不安定なため、入山禁止となっていた。筆者が訪れた7月下旬に雪渓が残っており、豪雪地帯であることを実感しながら尾根コースを利用し、まずは6合目を目指した。

 序盤は樹林帯の中、長い登りの続くタフな区間となる。標高が低いこともあり、日中は気温も上がるため、意識的にペースを落とし、エネルギー補給をしながら登りたい。6合目の標識がある場所は景色が開け、これから目指すニセ巻機山(前巻機)が望める。

6合目からの眺望。左に見えるピークが割引岳で右が前巻機。山頂付近が穏やかな風景が広がっているとは思えない急峻な山容

 登山口から約3時間30分で前巻機へと到着する。前巻機が9合目となり、ここでようやく巻機山の山頂を確認することができる。ここまでの道のりは危険箇所こそ少ないがハード。特に8合目からの階段は長く心肺に負担がかかるため、ゆっくりと歩きたい。振り返ると絶景が広がっているので、景色を満喫しながら登ろう。