山にはたくさんの巨岩・奇岩スポットがある。日常では見ることができないような、大迫力の大きな岩をトレッキングとともに楽しもう。

 第3弾となる最終回は、長野県と山梨県にまたがる金峰山と三重県の御在所岳を紹介したい。

■金峰山(きんぷさん) 山頂にそびえ立つ「巨大な岩と富士山の眺め」

見どころ!
金峰山頂上に立つ巨大な五丈岩はこの山のシンボル的な存在

所在地:長野県・山梨県 
標高:2,599m
高低差:239m
歩行距離:8km 
歩行時間:4時間
アクセス
 電車:中央本線・塩山駅下車、タクシーで90分
 車:中央自動車・道勝沼ICから約120分

山頂は展望のいい解放的な景色。その風景のなかにたたずむ五丈岩の存在感が際立っている

●稜線歩きが気持ちいい日本百名山の一座

 金峰山は奥秩父の名峰で秩父多摩甲斐国立公園内に位置し、南アルプス、富士山、八ヶ岳の眺望が素晴らしい。その山頂部には、静かな景色のなかにひときわ目立つ大きな五丈岩が立っている。

 関東圏からアクセスして日帰りで歩くなら大弛峠にある、大弛小屋を起点にするといい。山頂まで標高差166mほどでアップダウンを繰り返す道のり。

出発起点である大弛小屋のテントサイトは森の中なので涼しい

 途中の朝日岳を越えると、目の前に金峰山、瑞牆山、八ヶ岳が広がり、後方には富士山というパノラマが楽しめ、開放感溢れる稜線歩きができる。

樹林帯歩きもできて、登りごたえは十分

 道中には岩場もあるが、歩きやすい道のため、2時間ほどで山頂へ到着。そこにあるのが、高さ約15mに及ぶ巨大な五丈岩だ。金峰山のランドマーク的存在で、その周辺が休憩やランチスポットになっている。その向こうには富士山も雲の上に浮かび、絶好の写真スポットとなっている。360度広がる眺望は見事で、時が経つのをつい忘れてしまうほどだ。

稜線は遮るものがないので見通しもいい。心地よいトレッキングを楽しめる

●長野県側からのアプローチも可能

オススメの廻り目平キャンプ場

 長野県側からアクセスするには廻り目平キャンプ場を起点にするといい。森に囲まれたフリーサイトのキャンプ場で、のびのびと大自然を満喫できる。金峰山までは往復7時間。キャンプと登山、両方を満喫できるオススメのスポットだ。

 

■御在所岳(ございしょだけ) 岩の存在感が際立つ鈴鹿山脈の盟主

見どころ!
一見不安定だけれど…… 絶対落ちない地蔵岩。一度は見たい、不思議な景色

所在地:三重県 
標高:1,212m
高低差:812m
歩行距離:4.1km 
歩行時間:4時間
アクセス
 電車:近鉄湯の山線湯の山温泉駅下車、バスで約10分
 車:新名神高速道路・菰野ICから約10分

登山道中腹にある地蔵岩は御在所岳の象徴的な存在として人々に親しまれる

●奇岩がゴロゴロ点在する鈴鹿山脈の主峰へ登る

 三重県の東端に位置する御在所岳はいくつもの登山道が整備されており、地元住民はもちろん、多くの登山客に愛される山だ。山頂部まではロープウェイが架かり、観光客も頻繁に訪れる。

頂上付近は木々が低く、麓の街並みも見えやすい。眺望の良さも人気の秘密だ

 この山の象徴は、中道ルートの登山道中腹にある地蔵岩だ(※現在、中登山道は通行止めです。ご注意ください)。巨大な四角い岩が、地面から突き出た2つの立方体の岩の上に絶妙なバランスで乗っている。「なぜ、このような形で岩が乗っているのだろうか」 そう思わざるをえない。ほかの山では見られない、まさに自然の神秘が成し得た奇跡だ。岩が落ちないことから「絶対に落ちない」という願掛けスポットとして受験シーズンはとくに人気。

登山道中腹にある、巨大な負れ岩

 地蔵岩の下にある、高さ13mと10mの細長い2枚の巨岩が突き出た負れ岩(おばれいわ)の存在感も大きい。岩と岩の隙間に一人が入れるスペースがあるので、ここで記念撮影したくなる。

※御在所岳「中登山道」おばれ岩崩落注意について
中登山道の「おばれ岩」付近、崩落の危険がありますので、現在、中登山道は通行止めとなっています。計画されている方は、他の登山道のご利用をお願いします。

いくつもある巨岩は紅葉とのコラボレーションが美しい。秋にこそ行きたい山だ

 御在所岳は登山道を歩くだけでなく、登りか下りのどちらかをロープウェイに乗るのもオススメだ。搬機からは、鷹見岩や恵比寿岩など、ほかの奇岩を眺められる。

●山頂まで一気に上がるロープウェイ

ロープウェイはおよそ15分間の乗車

 御在所岳は観光地としても人気が高く、関東の高尾山、関西の六甲山のように多くの老若男女が訪れる。ロープウェイはおよそ15分間の乗車で、足元に広がる紅葉を眺めながら、ひとときの空中散歩を楽しめるのだ。