■屋久島(やくしま)

ルート:ヤクスギランド → 花之江河登山道 → 石塚小屋(泊)→ 黒味岳 → 宮之浦岳 → 永田岳 → 鹿之沢小屋(泊)→ 永田歩道を経て永田バス停へ(2泊3日)
標高:1,936m(宮之浦岳) 
所在地:鹿児島県
技術:★★☆☆☆  体力:★★★★☆
ポイント:3日間かけてゆっくり島を横断

たっぷり降った雨が森から空へと戻っていく循環の中を歩くのだ

●ひと月に35日雨が降る島の神々が宿るとされる奥岳へ

 1993年、日本ではじめて世界自然遺産に登録された屋久島は、一生に一度は歩いてみたい奇跡の山岳島だ。東シナ海の大海原に飛び出す標高2,000m弱の峰々は、湿った空気を雨にして、そのまま浴びる洋上アルプスだ。「ひと月に35日雨が降る」といわれる島は、ヤクスギなどの巨木や数百種類の苔類たちの格好の住処となっている。

ヤクスギランドの屋久杉を愛でることから島旅ははじまる

 島の中央部に聳える高い峰々を、島の人々は奥岳と呼び、その最高峰の宮之浦岳(標高1,936m)は九州地方最高峰にしてもっとも南に位置する日本百名山。冬になると深さ数mもの雪に覆われる四季の濃い山域だ。そんな島の山岳地帯を東から西へ、避難小屋あるいはテントで泊まりながら歩く2泊3日の縦走路である。

日本百名山・宮之浦岳の山頂が晴れることはあまりない

 スタートは、推定樹齢3000年を超える紀元杉を代表とする巨木・屋久杉が生きるヤクスギランド。栗生岳、宮之浦岳、永田岳といった屋久島最高峰3座に登り、永田集落へと下りるロングコースは、屋久島の魅力がぎゅっと詰まった道だ。

屋久島と口永良部島にのみ生息するヤクシカとの出会いも楽しみのひとつ

●MAP

■信越トレイル

ルート:斑尾山 ~ 赤池テントサイト(泊)→ 桂池テントサイト(泊)→ 光ヶ原キャンプ場(泊)→ 野々海高原テントサイト(泊)→ 天水山(4泊5日)
所在地:長野県・新潟県
技術:★★☆☆☆  体力:★★★★☆
ポイント:衣食住を背負って歩く80km

斑尾高原スキー場からトレイルの起点となる斑尾山山頂へ。奥の山々は志賀高原だ

●12の峠を越えて豪雪地の里山をゆく、日本を代表するロングトレイル

 長野県と新潟県の県境となる関田山脈を駆け、秘境・秋山郷から苗場山へ続く日本を代表するロングトレイルだ。標高1,000mちょっとの山々が連なる里山歩きから茅葺き屋根の民家が並ぶ豪雪地の山村、高層湿原を抱える百名山まで、バリエーション多彩な総延長120kmである。

沼の原湿原の木道をいく。針葉樹と紅葉樹の混成林が美しい

 今回はテント場が点在する関田山脈80kmを紹介しよう。豪雪地ゆえ初夏まで雪が残るため、ベストシーズンはこれからの紅葉時期で、ブナをはじめとする原生林が美しく、眼下の飯山盆地が黄金色に輝く。5mもの雪に覆われる豪雪地に生きるブナは生命力がみなぎり、包容力を感じさせる。雨が似合う森なので、天気が悪くても楽しめるのが、このトレイルのいいところでもある。

日本一の大河・千曲川が流れる飯山盆地を見下ろしながら歩く

●MAP