■鹿島槍ヶ岳の南峰から望む爺ヶ岳

天を指すような山容の鹿島槍ヶ岳・南峰

 唐松岳と同様に後立山連峰に属する鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ)は、標高2,889mの南峰と標高2,842mの北峰からなる双耳峰だ。「槍ヶ岳」という名を冠するだけあって、南峰も北峰も鋭く天を指している。

 山頂からは360度の大パノラマが広がり、北アルプスの雄大さや、急峻な山々の景色をたっぷりと楽しむことができる。中でも絶景なのが南峰から望む爺ヶ岳(じいがたけ・標高2,670m)の景色だ。北峰・本峰(中央峰)・南峰の3峰からなる爺ヶ岳の美しい稜線を見ることができ、その奥に槍ヶ岳などの山々が広がっている。

爺ヶ岳へと続く稜線の奥は山々がどこまでも続く絶景

■鹿島槍ヶ岳北峰から望む剱岳・立山

 南峰から望む景色もいいが、北峰からの景色も絶景だ。谷を挟んでそびえる剱岳や立山の雄大さをビシビシと感じることができる。ただし、南峰から北峰までは吊尾根(つりおね)と呼ばれ、しなやかな弧を描いているが、切り立った箇所も多く、慎重な歩行が必要だ。安全のためグローブと、ヘルメットの着用は必須である。道のりはタフだが、たどり着いた先には息を飲むほどの絶景が待っている。 

青く澄んだ空に剱岳・立山の山容がくっきりと見える

■鏡池から見る槍ヶ岳、穂高連峰

 新穂高温泉から向かうのは北アルプスの最深部の入口になる双六岳(すごろくだけ・標高2,860m)。山頂までの道のりは長く、体力を要するが時おり絶景が広がり、楽しみながら歩ける。

 中でも筆者がおすすめしたいのが鏡池(かがみいけ)だ。標高2,300m地点にある鏡池からは、槍ヶ岳や穂高連峰を見上げるような角度で眺望できる。長い道のりを歩いてきたからこそ出会うことのできる絶景が待っている。

 風のない穏やかな日ならば、池に槍ヶ岳が映り込むリフレクションをみることができ、まさに鏡のような景色を楽しめるだろう。訪れる際には天気と合わせて風もチェックしたい。

筆者が訪れた際にはわずかに風が吹いており、完璧なリフレクションはみることができなかった

 今回は5つに絞って紹介したが、北アルプスにはまだまだ思わず感動してしまう絶景ポイントが無数に存在する。これらの絶景の数々は筆者がより登山好きになったきっかけである。興味のある人はぜひ一度訪れてみてほしい。