犬を連れてのキャンプは、愛犬と自然を思い切り満喫できる最高のアウトドア体験だ。しかし、事前の準備や想定が甘いと、楽しい時間が一瞬で苦い思い出に変わってしまうことも。ここでは、筆者が実際に経験した犬連れキャンプの失敗談を紹介しながら、ペットとのキャンプで気をつけたいポイントを伝えたい。

■犬が吠え続けて周囲の迷惑に

愛犬と自然を満喫する

 愛犬と初めて焚き火をしたときに苦い経験をした。筆者は焚き火の火を眺めながらゆっくり過ごす時間が好きで、いつか愛犬と一緒に楽しみたいと思っていた。しかし、いざ焚き火を始めると、パチパチと爆ぜる火の音に犬が驚き、焚き火台を囲む筆者の横でずっと吠え続けてしまった。普段はおとなしく吠えることも少ない犬だが、燃え上がる炎に恐怖を感じてしまったようだ。

 もちろんペットOKのキャンプ場であったが、周囲のキャンパーから「犬がうるさい」と注意されてしまい、結局焚き火を諦めて車に避難させることにした。愛犬にとっては初めての経験が大きなストレスだったのだろう。犬連れキャンプでは、犬の性格と恐怖心を十分に理解して計画を立てるべきだと身をもって学んだ。

 初めてのキャンプでは、吠えることを想定してほかのキャンプサイトから離れた場所を選ぶ、炎を怖がる場合は炭火のみにする、予期せず興奮した時の避難場所や方法を考えておくなどの考慮が必要だ。

■飼い主も一緒に川に落ちる

愛犬と川辺を散歩

 川沿いのキャンプ場で愛犬と川のほとりを散歩していたときのことだ。普段の散歩では、リードを引っ張ることはなく、呼び戻しのきく犬だったのですっかり油断していた。ところが川辺に大きな鳥が飛んできた瞬間、愛犬が興奮して全力で追いかけようとした。

 リードを握っていた筆者は体勢を崩し、そのまま犬と一緒に川へ落ちてしまった。季節は春先で水も冷たく、着替えを用意していなかったため、びしょ濡れのまま焚き火で体を乾かす羽目になった。普段おとなしく従順な犬でも、自然の中では予想外の行動をする。油断は禁物だと痛感した出来事だった。

 リードは普段使っているものに加え、長めのものも用意するほか、首輪とハーネスに1本ずつリードをつけることで万が一の脱走を防げる。人間はもちろん犬が川や池に入ってしまうことも考え、念のためにタオルや着替えを用意しておくと安心だ。

■その他に起こりやすい犬連れキャンプのトラブル

 筆者の体験以外にも、犬連れキャンプでは思わぬトラブルがいくつも起こりうる。例えば、犬がほかのキャンパーのサイトに勝手に入り込んで食べ物を奪ってしまったり、普段と違う環境で体調を崩して下痢をしてしまったりすることもある。

 また、夜間に聞きなれない物音に反応して吠え続けてしまい、眠れない夜を過ごしたという話もよく聞く。自然の中には野生動物も多いため、犬が突然追いかけて迷子になる可能性もある。こうした想定外の事態を防ぐためには、リードや係留具の設置を徹底し、犬の体調管理や性格に合わせた準備を欠かさないことが重要である。

 リードの固定は屋外ではペグや木に固定し、テントの中ではペットアンカーなどの重りを利用することで安全に固定できる。普段使っているケージを持参すると、より安心できるのでおすすめだ。

■準備をしっかりとして愛犬と楽しいキャンプを

自然の中で気持ちよさそうに眠る犬

 犬連れキャンプは、自然の中で駆け回ったり、焚火のそばでくつろいだり、愛犬の生き生きとした表情を見ると、心から幸せを感じる。ただし、その楽しさを安全に味わうには、事前の準備とさまざまな想定が欠かせない。今回の失敗談を反面教師にして、愛犬と一緒に快適で幸せなキャンプを楽しんでほしい。