■安達太良山から鉄山までの絶景稜線歩き「異星」を感じる荒涼とした世界
安達太良山からの景色は絶景だったが、筆者がもっとも興奮したのは安達太良山の先、鉄山(てつざん)に向かう区間だ。ここまで登ってきた自然豊かな風景は一変し、荒々しい風景が広がる。
安達太良山の北西に直径約1.2km、深さ150mほどもある火口跡は「沼ノ平」と呼ばれ、白く荒々しい山肌はまるで異星に来たかのような感覚で、生物の気配は感じず荒涼としている。現在も付近では硫化水素ガスが噴出し、一部登山道は通行禁止となっていて生物が近寄ることを許さないエリアだ。安達太良山は成層火山群で、気象庁の常時観測火山の指定を受けており、鉄山の山頂にも観測の機器が設置されている。今も活動していることが伺える。

鉄山からは一旦登ってきた道を戻り、工事期間中の鉄小屋(くろがねごや)を経由し、駐車場へと下山することができる。安達太良山から鉄山の区間は風が強いことが多く、訪れる際にはウィンドシェルジャケットを携帯したい。
安達太良山の北西に広がる火口跡は、他ではなかなか見ることのできない風景が広がっている。また下山後は麓で温泉を楽しむことができるため、温泉と登山をセットに安達太良山の山行を計画してみてほしい。
【奥岳登山口からの周回ルート】所要時間
奥岳登山口(0:00)→薬師岳(1:20)→安達太良山(2:35)→鉄山(3:25)→鉄小屋(4:35)→奥岳登山口(6:20)
歩行距離: 約11.8km
累積標高差: 登り 942m、下り 939m
合計所要時間: 6時間20分