東北南部、福島県に位置する火山ならではの荒々しさを持つ山、安達太良山(あだたらやま)。

 標高1,700mのこの山は、7世紀後半から8世紀後半までの和歌が編纂された日本最古の歌集『万葉集』に登場し、その景色の雄大さや美しさが詠まれている。また、大正時代の詩人、高村光太郎の妻である智恵子の生家が山の麓にあることから、『智恵子抄』にも安達太良山の風景が描写されている。

 古くから人々の心を惹きつける安達太良山は、中腹までは灌木帯、稜線には火山らしい荒々しい景観が広がっており、登山コースの途中にある山小屋で源泉掛け流し温泉に入ることができる、魅力的な山。

 今回はそんな安達太良山の登山の魅力について紹介しよう。

■スキー場のコースを歩いて山頂へ

登山の玄関口、奥岳登山口はあだたら高原リゾートのスキー場のコース上にある

 安達太良山は東北自動車道二本松ICより約30分の場所にある。往復約5時間、ロープウェイを使うと往復約4時間で山頂に立つことができ、難所もほとんどないので初心者でも気軽に登山を楽しむことができる。登山の玄関口は奥岳登山口で、あだたら高原リゾートのスキー場のコース上にある。

最初の1時間半ほどは歩きやすいスキー場のコースを登る

 約1時間半、スキー場のコースを登ると、あだたら山ロープウェイの山頂駅にたどり着く。このコースはロープウェイに乗ってショートカットすることもできるので、体力や登山レベルに応じて利用するのがおすすめだ。

 ロープウェイの山頂駅からは約40分、荒々しい主稜を遠くに眺めながら樹林帯を歩く。樹林帯を抜けると、火山らしい景観の主稜にあるガレ場を40分ほど踏ん張って歩く。このガレ場は風が強いので注意が必要だ。