北アルプスをはじめとする標高の高い雄大な山々の稜線は絶景で魅力的だ。その一方で荒涼とした大地や、一切の生物の気配を感じないような荒々しい風景にも筆者は非現実的な魅力を感じてしまう。今回はそんな景色を楽しむために安達太良山(あだたらやま・標高1,700m)へと出かけてきたので紹介したい。
■スキー場を抜けて薬師岳へ。ゴンドラ利用で一気に標高上げることも可能!
安達太良山は福島県の中央部に位置し、いくつかのピークからなる火山群が約9kmにわたり南北に連なっていて、日本百名山や花の百名山、東北百名山などにも選定されている山だ。
東北自動車道・二本松ICから車で約20分で登山口の駐車場に到着する。車は「あだたら高原スキー場」の駐車場を利用でき、非常に広い。

駐車場に隣接する温泉「奥岳温泉」をさらに奥へと進むと登山口が見えてくる。序盤、薬師岳まではスキー場に延びる登山道を歩きながら標高を上げる。スキー場だからと侮ってはならず、これが思っていたよりも勾配が急で、タフな区間だった。ゲレンデ内はツツジなどの花が咲いており、楽しみながら歩けた。あたりは樹林帯だが、紫外線対策は忘れないようにしたい。
登山口から薬師岳(やくしだけ)山頂までは約1時間20分。山頂付近までゴンドラ利用でショートカットできるため、体力を温存したい人や、長い登りが苦手な人はゴンドラの利用を考慮したい。薬師岳の山頂からはこれから目指す安達太良山を望むことができる。
■雄大な風景を望みながら目指すは安達太良山山頂

薬師岳からは木々の背が低くなり、植物の種類も変わってくる。筆者が訪れた6月はシャクナゲや山桜が開花し始めていた。ゲレンデ内を歩いていた時より登山道の勾配は緩やかで、余裕を持って歩くことができたが、今年は雪が多かったためか、途中ではまだ雪が残っている場所があった。また雪解け水が登山道のコンディションを悪くしている箇所も多く、一年を通じて麓とは天気も気候も違うので、事前にしっかり調べておきたい。

やがてぽっこりと飛び出た安達太良山の山頂が見えてくる。安達太良山(主峰)の頂上部は溶岩で盛り上がっている形から「乳首山(ちちくびやま)」の別名もあるそうだ。登山口から約2時間35分、薬師岳からは1時間15分ほどで安達太良山山頂に到着だ。盛り上がった山頂部へはハシゴがかかっている急な箇所を通るため、細心の注意をはらいたい。

安達太良山は標高は1,700mで、2,000mに満たない山だが山頂からは360度のワイドビューが広がり、安達太良山と同じく日本百名山に名を連ねる磐梯山(ばんだいさん)や吾妻山(あづまやま)、蔵王山(ざおうさん)など望め、麓の二本松市街を見下ろすこともできる。
