■女岳・小岳周辺に咲く「高山植物の女王」コマクサ

 秋田駒ヶ岳は、高山植物の宝庫である。なかでも、登山者の目を引くのがコマクサである。ピンク色の花をつけるこの植物は「高山植物の女王」とも称され、高山の砂礫地にしか咲かない繊細な生態をもつ。コマクサの見ごろは例年7月上旬から8月上旬。

 女岳から小岳、さらにはムーミン谷へと続く稜線付近に多く群生しており、整備された木道や観察ポイントからその可憐な姿を楽しめる。なお、コマクサの生育地はデリケートなため、登山道から外れたりすることは厳禁だ。マナーを守って写真撮影や観察を楽しもう。

高山植物の女王「コマクサ」

■ムーミン谷に咲く高山植物

6月初旬から見られるイワカガミ

新道コースで見ることができるイワテハタザオ

 小岳を越えた先に広がるのが、通称「ムーミン谷」と呼ばれる緩やかな谷状の地形。名の由来は、どこか北欧的で童話的な雰囲気をもつその風景からきている。チングルマやワタスゲ、ミヤマキンポウゲなど、さまざまな高山植物が辺りを彩り、木道からそれらを観察できる。その光景は、まるで高山植物の博覧会のようだ。

日本の代表的な高山植物のアオノツガザクラ
蝶のような可憐さがあるオオバキスミレ

■秋田駒ヶ岳稜線上から見る田沢湖

 下山の際に、見晴らしのよい場所に出ると、日本一水深が深い田沢湖を目にすることができる。1周20kmの田沢湖は、湖畔から見ると対岸もはるかに遠く感じる大きな湖だが、山の上から見ると丸い形をした湖だと再認識させられる。

稜線上から見ることができる田沢湖