■みかも山の罠。展望台からの景色は侮るなかれ

一見のんびりした公園のような佇まいを見せるみかも山だが、実はしっかりとした「登山」もできる。最初はなだらかな舗装路で、どこまでも平和な散歩道。ところが、途中から様子が変わってくる。コンクリート舗装が土の道に変わり、階段状の山道が続くようになる。木漏れ日を浴びながら歩くその道は、まぎれもなく「登山」であり、気がつけば額にじんわりと汗をかいていた。
ただ、こうしたルートも決して過酷ではない。標高差が小さいため、ペースさえ守れば運動不足の人でも無理なく登ることができる。途中にはベンチもあり、休憩しながら自分のペースで登れるのが嬉しい。
そして頂上にたどり着いた瞬間、思わず息をのむ。展望台から見えるのは、関東平野の雄大なパノラマ。視界が開けたその先には、筑波山や日光連山までもが見えることがある。高さはないはずなのに、これほどの景色を望めるとは。
この「想定外のご褒美感」が、みかも山のサプライズだ。登るつもりがなかった人がつい登ってしまい、登った人が予想外の絶景に驚かされる。
しかもこの山は、季節によってまったく異なる表情を見せてくれる。春にはカタクリの群生地が山肌に広がり、秋には紅葉が鮮やかに染まる。季節を変えて何度でも訪れたくなる。みかも山は、ただの公園でも、ただの低山でもない。「自分なりのアウトドア体験」が組み立てられる、懐の深い山である。
■ みかも山はアウトドアの第一歩としての「完成度」が高い

みかも山は、手持ちのアプリで計測したところでは、標高229mという小さな山ながら、驚くほど多彩な表情を見せてくれる。舗装された道、整備された施設、美しい自然、優しい登山道、展望のご褒美、そして四季折々の花。これほど誰にでも開かれている山はそう多くない。
「アウトドアを始めてみたいけど、何から手をつけたらいいかわからない」、「久しぶりに自然に触れたいけど、遠出はちょっと……」、「家族と、恋人と、あるいは一人で、週末に気軽な非日常を味わいたい」、そんな人にこそ、みかも山をおすすめしたい。登らなくても楽しめる。けれど、登ってみると、もっと楽しい。それが、みかも山という小さな山の、大きな魅力なのだ。
【登山ルート】所要時間
登山口(0:00)→みかも山山頂(1:30)→とちぎ花センター(2:30)
歩行距離:約5.5km
累積標高差:登り 357m、下り 242m
合計所要時間:2時間30分
