■ゼロポイントから“日本のど真ん中”へ


さて、車両が通行できる道に別れを告げ遊歩道へと入ります。急な斜面に刻まれた道はよく整備されていますが、両側が切れ落ちた箇所や片斜面のトラバースとなります。杉の根元に水が滴っている「一杯水」を通過した後に「水晶岩交差路」で分岐して“ゼロポイント”へと向かいます。ここから早足で往復30分ほど。ここもよく整備されていましたが、急で狭いところや滑りやすい場所もありますので、ライディングだけに振ったシューズだと辛いかと思われます。

ここは『チコちゃんに叱られる!』でも認定を受けた日本の中心の中心からも程近い場所。全国に40か所ほどあるゼロポイントのうち、北緯36度00分00秒と東経138度00分00秒の交点となっています。“0からの出発”と書かれたベンチにも、どこか感慨深いものを感じてしまいました。
※「水晶岩交差路」の前後は遊歩道をグラベルバイクを押して歩きましたが、交差路より北側はかなり道が細く倒木が塞いでいる箇所もありました。車道を遠回りした方が安全で快適かと思われます。


ふたたびサドルに跨ってペダルを漕ぎますが、曲がりくねりながら続く坂道は長く、徐々に疲労も溜まって脚が攣りそうでした。息を荒げながら「日本中心の標」に到着。地理的に“日本のど真ん中だというこの場所は”ヤマツツジの群生地です。5月中旬の取材日はちょうど花が咲き出したばかりでした。

「日本中心の展望台」の螺旋階段を上ると360度の展望が広がります。あいにく周囲の多くの山々の稜線は雲に覆われていましたが、開放感あふれる景色は清々しい気持ちにさせてくれ、ここで長めの休憩タイムを取りました。このあたりが今回のルートの最高到達点でもあります。
■続くグラベルロード、展望台から諏訪湖を望む


あとは下り調子で爽快なグラベルライドを楽しめます。やさしく染み込むような淡く、それでいて鮮やかな新緑の緑にヤシオツツジの薄紅色がよく映えます。


走っていて非常に気持ちのいい道が続いていますが、このグラベル区間は長くてさすがに飽きだした頃「しだれ栗森林公園展望台」に到着しました。東屋の奥に赤い展望台が建っています。ここに登ってようやく諏訪湖を望むことができました。アルプスや八ヶ岳などの山々を見渡すことができ、グラベルロードのフィナーレにぴったりの場所でした。

展望台から少し下ると舗装路となります。ゴールの「辰野ほたる童謡公園」までは残りおよそ15kmです。「初期中山道・小野峠」から続く車道、“塩嶺王城パークライン”を「しだれ栗森林公園」を横目に麓まで一気に下ります。舗装が良く快適すぎるのでスピードの出し過ぎには要注意ですね。帰路は国道153号線に沿うように“Japan Alps Cycling Road”があるので、心地よいサイクリングが楽しめます。
ちょっとした冒険気分が楽しめるグラベルバイクでの自転車旅、今回のルートは約30kmで累積標高差約880mでした。所要時間は撮影をしていたために6時間ほどかかっています。