絶景の連続! 海を間近に眺める金華山ハイク

島中のあちこちに点在する、ちょっと変わった姿の樹木

 島に上陸してまず目指すのは、金華山黄金山神社(きんかさんこがねやまじんじゃ)。観光客や参拝者が多いこともあって、参道は舗装されている。船を降りてから神社までの所要時間は徒歩20分くらい。傾斜はややきつめだ。日頃運動をしていないと足腰に堪えるだろう。これもまた、神様に試されているかのよう。

 神様に無事の山旅を祈願したら、一般の参拝客を横目に、ぼくらハイカーは山に分け入る。山頂に鎮座する奥宮への登拝である。黄金山神社からのコースタイムは、およそ60分。神社の裏手にある「登拝口」からしばらくは沢沿いの道で、手つかずの自然に残された大木やキラキラの新緑が出迎えてくれる。芽吹いた直後の鮮やかな緑は、まさに5月ならではの魅力だ。

 ハイキングコースは整備されているので歩きやすいものの、ヤマビルが出る季節だから忌避剤は必ず持とう。ぼくはもっぱら「ヒルさがりのジョニー」派だ。

二の御殿を経由して海を眺めながら下山するコースがお気に入り

 水神社まで来ると、二体の石像から先に絶景の尾根が現れる。ここからが金華山ハイクの真骨頂。目に入ってくるのは、牡鹿半島から南三陸へと続くリアスの海岸線が描くダイナミックで複雑な美しさ。高度を上げるほどに視界が大きく開け、眺めに圧倒されるのだ。

 大海祇(おおうみつみ)神社が鎮座する山頂からさらに奥へと尾根伝いに進むと、そこには金華山随一の絶景スポットが待っている。西に仙台の町、その背後の奥羽山脈には蔵王や吾妻・安達太良連峰までよく見える。眼前には金華山瀬戸を挟んで牡鹿半島、そして網地島や田代島といった宮城の島々が近い。東には太平洋の大海原のみ。とにかく「すごい!」のひと言だ。この風景を見るために、わざわざ船で島に渡ってくる価値があるといっても差し支えない。

 とはいえ、写真でこの感動を伝えるには限界がある。宮城の風土を追ったドキュメント作品に、たまたまぼくが出演している。そこで金華山について語っているので、関心のある人はぜひ覗いてみてほしい。およそ1時間半の大作の中で、1時間8分を過ぎたあたりから、その語りと金華山の登拝の様子と絶景が収録されている。これ、ほんとうにすごいので。

■【動画】島ならではの絶景「金華山」をいろいろな角度から見てみよう