新しい年を迎えると、どこで「山はじめ」をしようかと思いを巡らす。初日の出ならあの山だし、山上の神社に初詣をするなら、あっちの山もいい。地元のホームマウンテンでゆるりとはじめるのも悪くないし、帰省や正月旅行の旅先にある山も捨てがたい。

 というわけで、「今月はどこの山に行こうか」と頭を悩ませる旅好きなハイカーの参考に、毎月、日本中から選りすぐった低山を案内していこうと思う。

 とはいえ、やみくもに「マイベスト低山」なんてやるつもりはない。前提として、季節感を大切に選ぼうと思う。そのシーズンならではのイベントや、木花やグルメといった“旬”と“地域性”を踏まえて、実際にその月に訪れてみてよかった低山を、その理由とともに取り上げる。これまで、『今日も山旅気分』として連載を続けてきたけれど、2025年からは『月めくり低山カレンダー』と改めて再始動する。

 今回は、新年・新春という言葉にふさわしい秀麗な富士山を求めて、温暖な地・静岡へ。東京や大阪からもアクセス良好、絶景の一座「満観峰(まんかんほう)」が舞台である。

■焼津アルプスの盟主・満観峰は“日本一”に囲まれた絶景低山なり

広々とした山頂部からは山・街・海の“低い絶景”が楽しめる

 満観峰は静岡市・焼津市・藤枝市にまたがる山域の盟主で、標高は470mの低山だ。この一帯には高草山や花沢山といった山が連なっており、歩きやすさと見どころの多さから「焼津アルプス」と呼ばれて、地元ハイカーに親しまれている。

 山頂からの展望は抜群によい。なにしろ日本一高い富士山と日本一深い駿河湾が、視界いっぱいに広がっているのだ。それぞれ標高3,776m、最深部が2,500mにも達する、山海あわせて6,000m以上もの自然の奥深さ。静岡ならではの地理的な特徴を、この山からはひと目でおさめることができる。

 気分を新たにする新年の「山はじめ」として、日本一の高山と深海にはさまれた山だというだけで、なんだかめでたい気分になるというもの。そして満観の峰という山名が、これまたいいではないか。

満観峰より、見事なる富士の山!

 広々とした山頂には、東屋をはじめ多数のベンチが設置されていて、ぞくぞくと登って来るハイカーたちの絶好の憩の場になっている。温暖な静岡らしく、1月でも山上でのんびりできるのが嬉しいポイント。

 富士山の並びには愛鷹山塊や箱根の山々、そして洋上に突き出すのは伊豆半島だ。眼下には静岡市街地が広がり、東海道新幹線や東名高速道路といった都市のインフラが至近距離にあることも、山からの眺めとしては面白い。この一大景観を楽しみに訪れるだけでも、満観峰を選ぶ十分な理由になるはずだ。