向山(むかいやま)連山は兵庫県丹波市に位置する、ツツジの名所として知られるかまど型の山域だ。4~5月になると登山道にはツツジが咲き乱れ、登山者の目を楽しませてくれる。絶景ポイントが多いうえ、登山道も整備され道標も充実しているため、安心して楽しめる山である。
今回は向山連山を反時計回りで縦走したときの様子をレポートする。
■鳳翔寺登山口から蛙子峰へ



縦走の出発点となる鳳翔寺(ほうしょうじ)登山口は、鳳翔寺駐車場の奥にある。ここから獣除けゲートをくぐり、登山道へと足を踏み入れる。最初のピークである剣爾山(けんじやま・416m)までは急登が続く。
登山口から剣爾山の中間地点には天狗岩があり、その上からの眺望は迫力満点だ。この辺りまではツツジが開花しており、美しい景色を堪能できる。筆者が訪れた4月初旬の向山連山は、標高が上がるにつれてツツジはまだつぼみだったが、これからの開花が楽しみだ。




剣爾山は山自体がご神体の神奈備(かんなび)。山頂からは北側に眺望が開けている。次のピークである清水山(きよみずやま/しみずやま・542m)に向かう道は再び急登だ。剣爾山と清水山の間には、特徴的な岩が多く点在している。特に大きな岩は亀岩やイルカ岩など、ユニークな名前が付けられ見どころとなっている。



清水山山頂には関西電力の大きな反射板があり、山頂自体に眺望はないものの、反射板の脇から南側に景色を少しだけ望める。清水山からはなだらかなアップダウンが続く縦走路となる。珪石山(けいせきやま・557m)の山頂には大岩があり眺望はないが、周辺の変化に富んだ地形が見どころとなっている。



蛙子峰(がえるごみね・562m)は向山連山縦走の中間地点。その名の通り、カエルに見えなくもない岩があるが、こちらも眺望はない。



蛙子峰の東側には宝来山(ほうらいやま・551m)がある。蛙子峰のカエル岩の脇から宝来山へ行くことができ、そこからは北側にある国史跡黒井城跡(356.8m)も見渡せるほど眺望がよい。
ただし、蛙子峰から宝来山へ至る道は300m弱と近いものの、不明瞭でピンクテープが頼り。危険個所も多く上級者向けのコースである。同程度かそれ以上の景色が本線に多くあるため、あえて訪れる必要はないだろう。