■蛙子峰から観音堂登山口へ

蛙子展望所
五の山山頂
五の山から国史跡黒井城跡を見下ろす

 蛙子峰から五の山(591m)までは岩場の多いルートとなる。途中には蛙子展望所という岩場があり、向山連山のかまどの中を眺める眺望が開けている。歩いてきた稜線を見渡すことができるビューポイントだ。

 五の山は黒井城跡がよく見えるよう、北側の灌木が刈られている。次のピークは向山連山の主峰である向山(むかいやま:569m)だ。五の山から向山の区間はツツジの名所として名高い。筆者が訪れた4月上旬はまだつぼみだったが、これからゴールデンウィークにかけてが見頃となるだろう。

訪れた4月初旬は、標高が高いところのツツジはまだ開花していなかった
4月初旬の標高の高いところのツツジは咲いていても、開いたばかりといった様子
ゴールデンウィークの頃には、この辺りも花のトンネルになるのだろう

 向山山頂からは北東に眺望が開けており、丸太ベンチもあるため休憩スポットとして最適。ここからも黒井城跡はよく見渡せる。なお、ここが黒井城跡がよく見える最後のスポットとなる。

 向山から四の山(よんのやま・511m)の間にある松の台展望所からは北側に眺望が開けているが、黒井城跡は遠くてよく見えない。四の山には眺望がない。四の山から三の山(さんのやま・470m)の間には亜炭(あたん)展望所があるが、木が成長しており眺望はあまりよくない。三の山にも眺望はない。

向山連山の主峰である向山山頂。休憩スポットとして最適
四の山山頂
向山連山随一のビュースポット、岩座展望所からの眺望

 四の山から三の山の間にある岩座(いわくら)展望所は、大岩の上に鹿の角のような枯れ木が刺さっている独特のスポットだ。ここは向山連山のかまどの内側が見渡せる、向山連山随一のビュースポット。黄砂と花粉による春霞すら美しく感じさせる絶景が広がっていた。

岩座展望所から向山連山縦走前半で歩いた稜線を望む
岩座展望所からの眺望。訪れたときは黄砂と花粉による春霞がすごかった
三の山山頂
二の山山頂

 二の山(にのやま・298m)には眺望がないが、そこから少し下ったところには1600年前の滝山古墳がある。1958年(昭和33年)に発掘された頭蓋骨と副葬品を誰かが持ち出して所在不明となっているらしい。恐ろしいことをする人もいるものである。

標高が下がると登山道はツツジの花道へと変わった
向山連山観音堂登山口

 なお、二の山の次は一の山かと思いきや、一の山は存在しない。滝山古墳から観音堂登山口までは急坂だ。落ち葉で滑って転倒しないように注意が必要である。この区間は標高が低いためか、すでにツツジが開花しており、トンネルのような美しい景色を堪能できた。

■登山のお土産にイソ部神社の石清水はいかが?

水分れ公園は、川の水が日本海側と瀬戸内海側に分かれる分水界にある
向山連山のかまどの中心にあるイソ部神社
イソ部神社の石清水。この水でコーヒーを淹れるとおいしい

 向山連山のかまどの中心には水分れ公園とイソ部神社がある。水分れ公園は、川の水が日本海側と瀬戸内海側に分かれる分水界に位置する公園だ。イソ部神社の石清水は名水として有名で、帰路に名水を汲んでお土産にすることができる。

 なお、JR石生駅から鳳翔寺登山口までは約1.1km(徒歩17分)、観音堂登山口までは約800m(徒歩12分)、水分れ公園/イソ部神社までは約1.1km(徒歩17分)と、アクセスは良好。登山者も利用できる水分れ公園の無料駐車場がある点も便利である。

向山連山のツツジ

 ツツジの名所である向山連山は、ゴールデンウィークあたりまでがツツジの見頃だ。春の息吹を感じながら、色とりどりのツツジに彩られた山歩きを楽しんでみてはいかがだろうか。

 

【向山連山縦走】所要時間
鳳翔寺登山口 (0:00) → 剣爾山 (0:45) → 清水山 (1:20) → 珪石山 (1:35) → 蛙子峰 (2:00) → 宝来山 (2:10) → 蛙子峰 (2:20) → 五の山 (2:45) → 向山 (3:05) → 四の山 (3:40) → 三の山 (3:55) → 二の山 (4:20) → 観音堂登山口 (4:35)
歩行距離:約7.3km
累積標高差:登り 701m、下り 701m
合計所要時間:4時間35分

●【MAP】向山

●【MAP】鳳翔寺登山口

●【MAP】観音堂登山口

●【MAP】水分れ公園

●【MAP】イソ(山偏に石)部の石清水

●【MAP】水分れ公園駐車場

●【MAP】石生駅