■営業日までに間に合うのか?!

雨降る中、丸鋸持参で来てくれた大工の青山さん。カウンター、売店棚を作ってくれた

 さて、小屋に上がってからは何をするかというと、作業は盛りだくさんだ。小屋開けとは、9か月ほど閉めていた空き家にお客さんをお招きするようなもの、とお考えください。

 まず、鍵を開けて、雨戸まで締め切っていた小屋を開放することから始まる。そこから1階部分、食堂の荷物を片づけ、ヘリで上がってくる荷を置くスペースを確保する。そして大事なライフラインの確保。水のポンプアップ、放電対策で外していた発電機のバッテリーをつけ、それぞれが正常に機能するか祈るように確認する。(ここのところで毎年どこかしら不具合が見つかっている……)。それからやっぱり掃除が一番。閉め切っていたのでカビだらけ、ホコリだらけだ。食器棚の食器も丁寧に洗う。

 小屋の中には、撤去した太陽熱温水器、スターリンク、太陽光パネル、ストッカー置き場にしている単管や床板を保管しているので、それらの大物を外に出さなければスペースがない。20項目以上あるやることリストを進めながら、ヘリ荷受けの準備も整える。なんせ、ヘリは予定通り飛ばないものが前提で、それでもなんだかんだ2日くらいの遅れで飛んでくれるだろうと淡い期待をしてしまうのだが、2024シーズンは1週間も遅れてしまった。遅れれば遅れるほど、営業開始までの時間が短くなって焦るのだが、どうなるかはお天道さまの気分次第。天候を見ながらできる作業を進めるしかない。毎年ドキドキである。

■まるで祭りのような数日間!

今年も活躍してもらいましょう! チリウヒーター川合さんと太陽熱温水器の設置

 さて、麓の私は川根本町でヘリ荷上げの準備をする。買い出し、梱包、荷組作業を進め、その間にいただく営業や予約に関する問い合わせなどへの返信もする。燃料を受け取ったり、車で1時間ちょっとかけて農協に注文した野菜やビールを取りに行ったり、まかない用の買い出しに出たりと、行ったり来たりしながら、重さを図って荷造りの準備を進める。

 6月末のこの時期は、天気はもちろん、暑さとの戦いにもなる。連日のニュースでは「川根本町今年初の猛暑日」、「観測史上最高気温を更新、静岡市39.3℃。全国一位の暑さに悲鳴」などと報じられていて、聞いてるだけでげんなり。暑さが厳しいので食材は事前に組めず、当日、今日飛ぶよ! と決まった朝に急いで荷組みする。

 そしてやっとヘリは飛んで、私も急いで遠山郷に移動。翌日小屋に上がる。小屋に上がってもひと休みとは行かず、小屋開け作業と、営業の準備に合流してさらにスピードアップだ。

仲間が集まれば外は雨でもお祭りのようだ。今年はこんな方も来てくれました?!

 今年は「はなちゃん、ウイスキー何本か開けちゃった」と少々申し訳程度に報告が上がった。「どーぞ、どーぞ」、いやあ〜みなさん、1週間もヘリが飛ばず、食べるものも限られ、越冬ビールもなく、本当にすみま…… いや、ありがとう! という気持ちしかない。

 営業日まで残すところあと3日、ともなると、毎年のお決まりのように間に合うのか心配になる。作業は明るくなってから日が暮れるまで続く。

 そして、いよいよ営業開始日になると、ひとまずお客さんのお迎え体制が整う。あとは営業しながらやっていく感じだから、ひとまず、ね。当日の朝もまだまだバタついて、やっと昼頃に受け入れ態勢が整う感じ。

 ここまでがハードすぎて、営業1日目にしてすでに達成感がある。なんならもう終わった気分にすらなるが、今日から秋の最終日まで長いマラソンがはじまる。年に一度のはじまりの日。毎年賑やかに、ワクワクできたらいい。

 今年も小屋開けメンバー大募集中! お祭りのような数日が、また今年もやってきます。