立山の春の風物詩といえば、「雪の大谷フェスティバル」。標高2,450mの室堂(むろどう)ターミナル付近には、毎年春に壮大な雪壁が出現し、多くの人がその圧倒的な景色を求めて訪れる。特に2025年は記録的な積雪量により、例年以上の迫力が期待されている。

 本記事では、雪の大谷フェスティバルの魅力に加え、そこへ向かう立山黒部アルペンルートの楽しみ方や、室堂ターミナルでの特別な体験について紹介していく。

■圧巻の雪壁が出現!「雪の大谷フェスティバル」とは?

バスの中からみる雪壁と外からみる雪壁の違いを感じる(画像提供:(公社)とやま観光推進機構)

 「雪の大谷」とは、室堂ターミナル近くの道路に積もった大量の雪を除雪することで生まれる、巨大な雪壁のこと。毎年4月中旬から6月下旬にかけて「雪の大谷ウォーク」として公開され、圧倒的な雪壁が連なる白銀の回廊が、訪れる人々を魅了する。

 今年の雪の大谷フェスティバルは4月15日から開催。3月上旬の時点で室堂の積雪は7.4mを記録しており、昨年と比べても大幅に多い。そのため、高さ14mに達した昨年の雪壁を超える可能性も十分にあり、迫力満点の雪の大谷が期待できる。

●乗り継ぎが楽しい! ワクワクの室堂ターミナルへの旅

長野県から室堂へ向かう乗り物の一つ、黒部ケーブルカー

 室堂ターミナルへは車で直接向かうことはできず、立山黒部アルペンルートを利用する必要がある。そのため、さまざまな乗り物を乗り継ぐ特別な旅を楽しめる。

 立山黒部アルペンルートは、富山県側と長野県側の2つのルートがある。富山県側では、立山駅からケーブルカーで美女平(びじょだいら)へ向かい、そこから高原バスに乗り換え、両側にそびえる雪壁を眺めながら標高2,450mの室堂ターミナルへと進む。

 長野県側では、扇沢駅から電気バスで黒部ダムへ向かい、ダムを歩いて渡ったあと、黒部ケーブルカーやロープウェイなどを乗り継ぎながら室堂ターミナルへとたどり着く。移動そのものが特別な体験となり、旅のワクワク感を高めてくれる。

■立山室堂に宿泊も可能!  満天の星空の下、最高の思い出を

山荘の雷鳥荘に泊まって眺める、ここでしか味わえない最高な景色

 室堂ターミナルに到着すると、標高2,450mならではの絶景が広がっている。晴れた日には立山連峰の雄大な景色を一望できる遊歩道、パノラマロードを歩いてみよう。時間と体力に余裕があれば、みくりが池を目指すのもおすすめ。北アルプスで最も美しいともいわれる火山湖の冬の様子はとても幻想的だ。ゴールデンウィークには雪テラスで少し高い位置から眺めを堪能できる。

 室堂には、山岳ホテルや山荘など宿泊施設が多くあるため、時間と共に変化していく山の景色を見たい人は宿泊がおすすめだ。夜は満天の星空が広がり、宇宙の入り口にいるような幻想的な雰囲気に包まれる。運がよければ、早朝や夕方には雲海が見られることもある。

●高山でしか味わえない生き物たち

立山連峰を代表する生き物、雷鳥(画像提供:立山黒部アルペンルート)

 この時期の室堂では、高山帯にしか生息しない雷鳥に出会えることがある。冬は白い羽で雪原に溶け込み、気候が暖かくなってくると、茶色い羽に変化する。4月〜5月は、雷鳥の換羽期にあたり、冬の真っ白な羽から夏羽へと変化する貴重な姿を見ることができるのも魅力の一つ。