■春の訪れを告げるカタクリと滝に癒やされる浅間嶺

登山道の一部で群生するカタクリ。独特な花が可愛らしい

●払沢の滝入口バス停から「峠の茶屋」へ

 払沢の滝入口バス停で降りると、あたりには桜や梅の咲く春らしい景色が広がり気分を盛り上げてくれる。駐車場や土産店を横目に先へ進むと登山口が見えてくる。

 舗装路歩きから始まる登山道は歩きやすく、周囲はミズナラを中心とした広葉樹が広がっている。出発して間もなく、浅間嶺と払沢の滝との分岐が現れる。滝の方向に進むと、10分ほどで払沢の滝に着くが、こちらは帰りの楽しみにとっておこう。

 分岐を越え、なだらかな登山道を30分ほど進むと、時坂峠との合流地点で再び舗装路が現れる。この周辺ではチラホラ鮮やかな黄色い花が見られる。ヤマブキだ。

 時坂峠から、さらに30分ほど進むと、「浅間尾根・峠の茶屋」と看板を掲げた小屋が現れる。筆者が訪れた際は残念ながら営業していなかった。

 この茶屋の周辺では、かわいらしい花をつけたカタクリの群生が見られる。登山道の両側に可憐な紫の花が咲いているので、ゆっくり鑑賞したい。

●峠の茶屋から展望台を経て、浅間嶺山頂へ

カタクリの群生エリアを抜けると、今度はツツジがあたりを包む尾根道へと差し掛かる

 峠の茶屋周辺のカタクリの群生エリアを過ぎると、勾配がゆるく歩きやすい尾根道へと差し掛かる。このあたりでは、たくさんの花をつけたツツジが登山道を彩る。

 山頂直下の最後の坂を登れば浅間嶺の山頂に到着。浅間嶺山頂には展望台があり、東京都心や丹沢山系の山々が望める絶景スポットだ。ベンチもあるので、景色を堪能しながら休憩していこう。

浅間嶺山頂からの展望。遠くの山並みがくっきりと見渡せる

●下山後、日本の滝百選のひとつ払沢の滝へ

約23mの落差で流れ落ちる払沢の滝の最下部。水の透明度がすばらしく美しい

 山頂で休憩し、景色をじっくりと堪能した後は、来た道を引き返す。全体的になだらかな下り道なので、ゆっくりと森林浴を楽しみながら降りられるだろう。

 やがて、スタート地点付近の分岐点まで返ってくる。いよいよ東京都唯一日本の滝百選に選ばれている払沢の滝とご対面だ。

 高さ60mの4段構造を持つ滝だが、特に美しいのが落差23mの最下段部分。滝壺に向かって流れ落ちる様子は圧巻で、神秘的な雰囲気だ。

 滝までの道のりは遊歩道が整備されており、15分ほどで到着する。浅間嶺登山の締めくくりとして、滝の前で深呼吸してマイナスイオンと自然のパワーを存分に吸収しよう。

■カタクリと名瀑の浅間嶺

 今回、東京都内でありながら、花々と滝の大自然が満喫できる、浅間嶺を紹介した。経験の少ないハイカーでも安心できる登山ルートで、春の花咲くこれからの時期に特におすすめだ。登山後の滝見でリフレッシュできること間違いなしの浅間嶺へ、暖かくなるこれからの季節に出かけてみてはいかがだろうか。

 

●【MAP】浅間嶺

●【MAP】払沢の滝

●【MAP】払沢の滝駐車場