長野県の志賀高原マウンテンリゾートは18のスキー場が点在する、国内有数の一大スノーリゾート。なかでも「志賀高原 焼額山スキー場」はゲレンデ規模、コース数、設備の充実度が群を抜き、1998年の長野冬季オリンピックの舞台になった由緒あるスキー場でもある。
焼額山から裾野に向かって20本のコースが放射状に広がり、山麓の3か所に点在する志賀高原プリンスホテルの西館、南館、東館がゲレンデと直結。これほど大規模なスキー場をあますことなく滑り倒すなら、やっぱりホテルステイに勝るものはないだろう。
■ファーストランは冬季五輪の舞台「オリンピックコース」から
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焼額山スキー場の名物コースのひとつが、長野冬季オリンピックでアルペンSL競技が行なわれた「オリンピックコース」。このコースは前日の夕方から夜にかけてコース整備を行なうため、夜に雪が降ると圧雪バーンの上にパウダースノーが積もった状態になる。まさに今回は、寒波が訪れて雪が積もったばかりの最高のタイミング。「これはもう、一番乗りを狙うしかない」と意気込みながら第1ゴンドラに乗り込んで、朝一番のバージンスノーをいただきに行く。
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オリンピックコースは最大斜度30度超え。斜度のある上級コースだが、きれいに圧雪されているので中級者でも滑りやすい。それなりの降雪があっても、その下の圧雪バーンによって足場ができるので、しっかり踏み込め気持ちよくターンができる。「パウダーはうまく滑れない」なんて人でもこれなら快適に滑れるだろう。
■新設されたパウダーコース「YAKEBI COAST」
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次は、2024-2025シーズンから新たなパウダーコースとしてオープンした「YAKEBI COAST(ヤケビコースト)」の新雪を狙いに行く。ここはもともとリフトが架かっていた場所で、その架線下にあたる斜面をコースとして開放したというもの。リフトの支柱などは撤去され、林の中にまっすぐのコースが延び、距離も長い。893mのコース長は焼額山スキー場のパウダーコースのなかで最も長い。そのすべてが全面非圧雪になっており、パウダーに深さがある。
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底付きしない新雪の浮遊感はアドレナリン全開になる爽快さ。見た目はまっすぐなロングコースだが支柱の土台が残っているのでどころどころに起伏があり、斜面に変化がついてそれがまた楽しい。
コース後半は片斜面の緩斜面が続き、最終的にはリフト乗り場だった平坦な場所に出る。
■パウダーツリーランコースも攻める
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焼額山スキー場にはほかにも、パウダーツリーランコースが2か所ある。そのひとつ、「YAKEBI VALLEY(ヤケビバレー)」は沢のような斜面が横に大きく広がるワイド感のあるエリア。うねりのある地形が特徴で、右側と左側のどちらから滑り込むかによって異なる斜度感を味わえる。
また、焼額山スキー場は「YAKEBI COAST」などがある西側はダケカンバやカラマツといった広葉樹が多く、冬は葉が落ちた小枝に樹氷が出来上がる。これに対して、「YAKEBI VALLEY」などを含む東側は針葉樹があちこちに自生している。「YAKEBI VALLEY」では、枝にもっさりと雪をのせたクリスマスツリーのような木々を抜けるツリーランを楽しめる。
■クオリティの高いホテルランチ
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朝からずっとパウダー三昧という内容の濃い滑走ばかりだったので、「昼食はゆっくりとろう」ということで、志賀高原プリンスホテル西館にあるレストラン「ウエストサイド」に向かう。大きな窓のある明るく開放的な空間は居心地が良く、座席数も多い。
イチ押しだという「YAKEBI ビビンバDON」は、ナムルにりんごや根曲がり竹を使い、コチヂャンソースにはかんずりをブレンドするなど、信州らしくアレンジされたビビンバ丼。このメニューは、長野県のゲレ食No.1を決める「ゲレ食バトル2024-2025」にエントリーしている自信作だ。
「おにぎりセット」は具のほかに、野沢菜や味噌、梅などの付け合わせも添えられ、シンプルさにこだわりが詰まっている。そして、「五目あんかけ焼きそば」は具がたっぷりなうえ、麺の量も多くて食べ応えがある。レストランではクラフトビールである志賀高原ビールも提供しており、時間をかけてゆっくり味わう優雅なランチを堪能できた。
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