「多分これで大丈夫だろう」 いくつかの記事や数本の動画を見て、歩き方や登山の予備知識を頭に入れ、56歳にして初めて登山に挑戦した筆者。しかし、ゴールに到着したときには「こんなはずではなかった」という思いに。

 初登山で挑戦したのは標高370mの低山だったが、50代半ばの登山未経験者が3kmの登山道を歩くのは決して楽ではない。加えて筆者は「準備と心構え」を軽視してしまったために、あわや遭難にも繋がる大きな失敗を犯してしまった。

 今回は、初めての登山で体験した4つのミスを振り返り、その原因と改善策を紹介する。

■登山開始15分で息があがる

登山開始!  意気揚々と大股で歩く筆者だが…

 「まさかこんなに早く……」 登山を開始してわずか15分で息が切れ、動悸が激しくなり焦る。この低山は登山口からすぐになだらかな傾斜が300mほど続いていた。

 木々の間からある程度コースが見えていたので、「この程度の坂は大したことがない」と思い、大股でズンズンと進んだ。慣れた人であればピストンコース(同じコースの往復)で1時間と聞いていたため、気負った結果、最初から体力を消耗してしまったのだ。そして、この後に現れた急斜面で足に力が入らず、さらに苦労を強いられた。

●序盤で体力を消耗した原因を3つの観点で考察

 この失敗の原因を分析し、次回の登山に活かせる改善策を考えてみた。

「準備不足」
しっかりした登山計画をたてておらず、自分の体力や経験を踏まえた適切なペース配分ができなかった。登山前にアプリなどでコースを調べ、自分の体力に合ったペースを計画し、無理せず適時休憩を取ることで体力の消耗を防ぐのが大切だ。

「ペース配分と歩き方」
“この程度の坂なら”と思い、大股で速く進んで無駄にエネルギーを消費してしまった。筆者のような登山未経験者がやりがちなミスは、平地と同じ感覚で歩いてしまうことだ。特に年齢を重ねると持久力が低下し、急な負荷に耐えにくくなる。

 登山では、小さな歩幅でゆっくり進み、一定のペースを守ることが重要。具体的には、歩幅は自分の足の半分から肩幅程度に抑え、一歩一歩確実に踏みしめながら進むのが理想だ。

 また、登山では腹式呼吸が効果的だと学んだ。鼻から吸い、お腹を膨らませ、口からゆっくり吐く。歩幅と呼吸を合わせると息切れしにくい。

「過信と思い込み」
筆者はサッカーやサーフィン、スノーボードなどのスポーツを経験していたため、体力には自信があった。しかし、最近は全く体を動かしていなかったにもかかわらず、体力は“若いときのまま”と思い込み、現状とのギャップを埋められていなかった。せめてウォーキングや日頃から階段を使うなど、身近にできる運動をして登山に備えたい。