■ついに穴場を発見! これぞ寒ブナ釣りの醍醐味
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3か所目のホソを探り終えたのが正午前。この時点で本命のフナは9匹釣れていた。久しぶりに訪れた釣り場で、しかも寒ブナが相手なのだからまずまずの釣果といっていいだろう。この日は家の用事があり早めに帰宅するつもりだったため、このまま釣りを終えようと考えていた。
しかし、先ほど釣り場で出会った地元のお父さん(70代か?)が話してくれた内容が気になって頭から離れない。ここから少し距離はあるが「隣の河川の〇〇にあるホソが先週はよく釣れたらしい!」と言うのだ。
先週の内容、しかも他の人からまた聞きした情報をそのまま鵜呑みにしてもよいものか? 昨今世間を騒がしている特殊詐欺には絶対に騙されない自信がある筆者だが、この時はなぜか信じてみたくなってしまった。もちろんこのお父さんが出まかせを話しているとは思っていない。しかし、釣りの情報というのはとにかく鮮度が命。昨日まで釣れていたのに今日は駄目だったなんて話は掃いて捨てるほどある。その後もしばらく悩んだのだが、自身の直感を信じようと、お父さんの話に乗ってみることにした。
するとどうだろう、教えてもらったホソでは本命のフナがいいテンポで釣れてくるではないか。なかでもホソのオンドマリ(突き当り)の深み(水深80cmほど)には相当数のフナが溜まっているようで連発することが何度もあった。
寒ブナたちのアタリはとても小さく、シモリウキが数mm動く程度だった。おそらく居食い(いぐい・その場で動かずにエサを食べること)をしているのだろう。この微かなアタリを見極めて、狙い通りにアワセが決まった瞬間は本当にたまらない。これぞ寒ブナ釣りの醍醐味といっていいだろう!
終わってみれば、このホソだけでフナの釣果は29匹。要した時間は2時間弱だった。もしあのまま続けていたらまだ釣れただろうが、残念ながらタイムリミット。後ろ髪を引かれる思いで、釣り場をあとにしたのだった。ポイントを教えてくれた地元のお父さん、本当にありがとう。
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■冬枯れの牛久水郷で寒ブナ釣りを楽しもう!
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今回、冬の釣り物として日本人に古くから愛されてきた寒ブナ釣りを楽しむために牛久沼北部の水郷エリアを訪れた。活性の低い寒ブナが相手なので数匹釣れれば上出来だろうとかなり控えめな志で挑んだのだが、思いのほか良い釣りを楽しむことができ大満足の釣行となった。
釣り場で偶然出会った高齢のお父さんとの会話がなければ、今回の好釣果はあり得なかったのは明らか。現地での釣り人同士の交流がとても大事であることを改めて強く感じた次第である。
牛久沼周辺ではこれからまだしばらく寒い日が続くことになる。フナたちの動きは依然として鈍く釣り難い状態が続くことが予想される。しかし最後まで諦めずに釣り糸を垂らしていれば、必ず狙いの寒ブナを手にできるはずである。皆さんもしっかりとした防寒対策をしたうえで、冬の寒ブナ釣りに出掛けてみてはいかがだろうか。
※ 管轄漁協:牛久沼漁業協同組合
【注意事項】
釣り場近くに車を停める際には農作業の邪魔にならないようくれぐれも注意しよう。もちろん釣り場でのゴミのポイ捨てなども厳禁である。