登山の目的は人それぞれですが、美しい景色、迫力ある山の写真を撮りたくて登る人は多いでしょう。長野県を中心に全国各地の名峰へ精力的に登山、撮影を続けているhykemika_yさん。昨年、2024年は60座以上に登ったそう。その写真の中から、とくに思い入れのあるカット、ベストショットをいくつか選んでいただきました。【前編:冬〜夏山】

 立て続けに訪れる強い寒気と冬型の気圧配置のおかげで、雪に恵まれたスノーシーズンとなっています。登山をする人は今年の山行の参考に、登らない人は目の保養に、美しい日本の山の景色を楽しんでください。

■「天女の衣」谷川岳の稜線にかかる滝雲が神秘的

滝雲をまとった山々が美しく「天女の衣」と名付けた。巻機山にて(2024年2月撮影)

 2024年の厳冬期、巻機山(まきはたやま)に登った。新潟県と群馬県に跨がる標高1,967mの山で、日本
百名山の一つである。

 この日はナイトハイクをして、ニセ巻機山で日の出を迎えた。「日の出に間に合うか?」と逸る気持ちと裏腹に、ゆっくりしか登っていけない自分にもどかしさを感じながら頑張った思い出深い山行となった。

 マジックアワーにも間に合い、安堵した。太陽の暖かさを感じながら、太陽と反対の空には濃いピンクのヴィーナスベルト、望遠レンズで見ると谷川岳の稜線は滝雲になっており、夢中で撮影した。

■山の時間の感覚は非常識! 深夜0時起床の天の川撮影

初めての天の川撮影に挑む。北ノ俣岳にて(2024年5月撮影)

 5月の残雪期に黒部五郎岳を目指してテント泊をした。北アルプスの最奥部、富山県と岐阜県の境界に位置する標高2,839mの山である。

 北ノ俣岳の雪上にテントを設営し、夕焼けを見たあとは早めに就寝した。そして深夜0時に起床し、寒空の中で三脚を立てて撮影に挑んだのだった。

 日常の時間の感覚とは異なる山時間……。眠いし、寒いけど、肉眼で見ても無数に瞬くの星に感動し、興奮して撮影したのだ。現像するとカメラではより綺麗に星空を捉えていた。