例年以上の寒波が押し寄せ、あっという間に冬本番となった。雪道を車で走行する際はもちろんスリップなど細心の注意が必要だが、雪が降っていなくても滑る道路状況が存在するのをご存知だろうか。ブラックアイスバーンだ。

 一見すると、ただ濡れているように見えるが、実は表面に薄い氷が張っているのがブラックアイスバーン。パッと見る限り滑るようには感じないため、不意にハンドルを取られてしまうなど、毎年事故も多発している。

 今回はブラックアイスバーンの原理と、車を運転する際に注意すべきポイントを紹介する。

■濡れている道路が滑る!  誰もが騙されるブラックアイスバーン

アスファルト路面の上に薄い氷の膜が張った状態のブラックアイスバーン

 ブラックアイスバーンは路面凍結とも呼ばれ、雪が降った翌日に気温が上昇し雪が解け、夜になって急速に冷え込む場合に発生する。これは雨でも同様のことが起こるため、雪が降らない地域でも注意が必要だ。

 最も怖い点が、一見すると濡れているだけに見える点。とくに夜間や明け方はまだ辺りが暗く視界も悪いため、ほとんど見分けがつかない。しかし、アスファルトの上に薄い氷の膜が形成されており、とにかく滑る。例えるならば、スケートリンクの上を走行しているような感じだ。

 筆者は北海道で暮らして40年になるが、このアイスバーンだけは何年経っても慣れない。とくに夏タイヤからスタッドレスタイヤに履き替えた直後は冬道の運転にも慣れていないため、緊張の連続だ。 

■ブラックアイスバーン対策1. スピードを抑えて早めの減速

ブラックアイスバーンの後の圧雪路面の初期段階。この段階も滑るので要注意

 最も重要なのはスピードを出さないこと。多くの事故はスピードの出し過ぎた状態で凍った路面にハンドルが取られるパターン。冬場は時間に余裕をもって移動し、運転中はいつでも止まれる安全なスピードを意識しよう。

 また、ブレーキのタイミングも重要だ。JAF(日本自動車連盟)のテスト結果によると、時速40kmから急ブレーキを踏み、制動距離(ブレーキを踏んでから車が停止するまでの距離)を比較したところ「ウェット路面」では11mだったが、アイスバーンでは69.5mと、停止するまでに約7倍の距離が必要となった。アイスバーンは一見すると、ウェット路面と見分けがつかないため、恐ろしい話だ。

 車を運転中、少しでもいつもとは異なり滑ると感じたときには、急なハンドル操作は避け、早い段階からブレーキを踏んで減速させよう。