■深井駅で営業するドムドムハンバーガー

 このような経緯で誕生した泉北高速線は、当初、光明池までの4駅の設置を想定していた。現在の終点である和泉中央駅は、開業の4年後に和泉市が延伸を提案したことによる。

 いまは6駅なので、1つは設置計画に含まれていなかったことになる。工事着工前に追加されたのが深井駅だ。

 中百舌鳥駅と泉ヶ丘駅の間にある深井駅は、泉北ニュータウンエリアに位置しない。したがって、ニュータウンと都心を結ぶという本来の目的からすれば必要はなかった。しかし、路線沿いにある府営八田荘住宅へのアクセスを確保すべき、との要望があって実現したのだ。

 泉北高速線は深井から高架駅となり、駅舎の1階と2階はショッピングセンターとなっている。その1階に懐かしいハンバーガーショップを発見。ドムドムである。

ホーム下のショッピングセンター内から見たドムドムハンバーガーの入り口

 最盛期には全国に約400店舗展開していたドムドムハンバーガーだが、現在はわずか29店舗。しかし、そのうちの千船駅店(大阪市西淀川区)は2024年6月、東大島店(東京都江東区)は9月にオープン。まだまだ、日本初のハンバーガー・チェーンの火は消えそうにない。

 駅の東側には、1981年に設置されたモニュメント「躍水(やくすい)」がある。

駅前ロータリーに設置された躍水

 設計は堺市出身の彫刻家 松本鐵太郎(てつたろう)氏だが、製作は音楽デュオ、コブクロの黒田俊介の父親が担当したという。

■1300年前に造営されたピラミッド型の塔

 駅から5分の位置に鎮座するのは野々宮神社。約400年前の創建と伝わる。

野々宮神社の正面鳥居

 そして、徒歩で約15分歩いたところにあるのが土塔だ。

 土塔とは、土と瓦で築かれた塔のことで、堺市のものは階段ピラミッド型の十三重。奈良時代の僧・行基が建立したとされ、発掘調査の結果、一辺は53.1m。頭頂部には多宝塔の上層部のような建物があったと考えられている。

 その姿は圧倒されるほどダイナミックで、これだけのものを人力だけでつくり、また1300年近くも残されたことに驚きを禁じ得ない。

 土塔からふたたび深井駅へ。町の印象としては、飲食店が多い気がする。土塔の辺りは新興住宅地で、カフェやイタリアンといったオシャレなお店が目立つ。駅周辺も開発整備された印象を受けるが、立ち飲み屋に食堂など庶民的な雰囲気だ。この新旧の混在が、深井駅界隈の特徴といえよう。

つづく