■普通の米を使うならエビは後のせで

すべての材料をクッカーに入れて炊飯開始

 クッカー(今回はメスティンを使用)にアルファ化米と規定量の水を入れ、サクラエビと缶汁、スナックを加えて火に掛ける。

 このアルファ化米は加熱時間が5分で済むので、最初からサクラエビを加えて炊飯しても、エビに過剰な熱が加わる心配がない。もし普通の米を使う場合は、米と水、缶汁(とスナック)だけで炊飯し、火を止めた後の蒸らしの段階でサクラエビを加えるほうがいい。そうでないと、炊飯時の熱でサクラエビの身に含まれる水分や旨味が抜けてしまうからだ。

 この“具は後のせ”方式は、他の缶詰で炊き込みごはんを作るときも同じですぞ!

■ミーノの種類選びで失敗

色合いは美しいけど……

 かくのごとし。サクラエビの桜色にミーノのグリーンが響き合い、素晴らしい色合いで仕上がった。サクラエビも熱のダメージを受けていないようで、身がふっくらしたままだ。

 「オレ、天才かも!」

 自画自賛しながらひと口頬張ると……。やけにスパイシーである。おかしい、そんなはずはない。調味料は何も加えていないのだ。

 そこでミーノのパッケージを確認すると、表面に「ブラックペッパー味」と書いてあった。いつも買っているミーノは塩味なのに、今回は別バージョンの商品を買ってしまったらしいのだ。コショウのパンチが強く、サクラエビの繊細な風味がよくわからない。ただ、炊き込みごはんとしてはとてもおいしいかったので、同行した妻と一緒に、あっという間に食べ尽くしてしまった。

■缶詰にしたことで新たな魅力が

釜揚げサクラエビ本来の風味が生きている

 “CAN”P料理はちょいと失敗したけど、缶詰そのものは素晴らしい出来映えだ。何より釜揚げした状態が、ほぼそのまま保たれているのがいい。

 山梨罐詰の担当者に聞くと、開発目標は釜揚げサクラエビの食感と色、香り、味を生かすことだったそうだ。そのために必要だったのは、仕入れたサクラエビのサイズを揃えること。缶詰は殺菌のために加熱するのが条件なので、その際、均一に熱が加わるようにするためである。

 小さなサクラエビを選別するには、人の手と目で行うしかない。おまけに海藻などの異物が入り込んでいるから、それを取り除く手間もある。そうして選別した原料を缶に詰め、温度と加熱時間を微妙に調整しながら試作を繰り返すことで、ようやく缶成(完成)にこぎつけたという。

 面白いのは、缶詰にしたことで新たなメリットが加わったこと。加熱したことで、普通の釜揚げサクラエビよりも香ばしさがアップしているというのだ。

 いやあ、缶詰って奥が深いですなァ。

●今回の缶詰情報

山梨罐詰

「静岡釜揚桜えび 内容量40g」