暑い時期が過ぎ、キャンプにちょうどいい季節となった。今シーズンはキャンプブームの波にのって、秋キャンプへの挑戦を検討している人も多いだろう。
気温が低くなると、虫が減り、暑い時期にはやる気が起きなかった焚火も、ゆっくりと火を見て過ごせるようになる。
一方で、秋になると思った以上に気温が下がり、最悪雪が降ることも。寒い時期のキャンプでは、寒さにより体温が下がることで発症する低体温症の危険性もある。
今回は筆者の-3℃の中でのキャンプ経験をもとに、秋から冬にかけてのキャンプに潜む注意すべきポイントを紹介する。気温が低くなる時期のキャンプの参考になれば幸いだ。
■寒すぎて眠れなかった、-3℃の極寒キャンプ
宿泊したのは12月、九州の標高950mにあるキャンプ場。12月でも九州の平地には雪が降ることはなく、氷点下になることも少ない。
しかし、山では標高が100m上がるごとに0.6℃気温が下がるとされており、標高950mの場合、平地よりも約6℃気温が下がることになる。つまり、平地では雪が降っていなくても、山中は雪景色になる可能性もあるのだ。
前日までの予報では、キャンプ地の気温は氷点下にはならないはずだった。しかし、山は平地より寒くなることを知っていたため、シュラフを暖かいものにして、服装もできる限り暖かくなるように、上下とも裏起毛のものを準備した。
しかし当日は天気予報に反して、昼間は5℃ほどあった気温も夜には-3℃まで下がった。寒さ対策の道具を準備してきたつもりであったが、寒さに慣れていないことや、風の影響で体感温度も下がり、気温以上に寒さを感じる。
予備用に持ってきていた電気式ヒーターがなければ、寒すぎて眠るどころではなく、下手をすれば命の危険もあった。念のために電源付きのサイトにしていたこと、電気式の小さなヒーターを持っていったこと、この2つが功を奏し結果的に助かった。
気象学的に9月〜11月は秋とされており、2017年11月の東京の最低気温は7.9℃。地方によっては、もっと寒い場所もあるため、秋でも今回と同じケースは十分にあリ得る。秋でも気温が下がってくるため、平地の気温ではなく、現地の気温に留意しよう。
■気温が低くなる時期のキャンプは、低体温症に注意
気温が低くなる時期のキャンプは低体温症のリスクも伴うので、注意が必要だ。聞きなれない名前から、特殊な環境でしか起こらないものと勘違いしてしまいそうだが、じつは身近に存在する危険な症状なのだ。
●低体温症とは?
脳や臓器など体の内部の温度は、内臓の働きを守るため、体温を一定に保ち外環境の影響を受けにくいようになっている。これを深部温度というが、何かしらの理由でこの深部体温が35℃を下回ると起こる症状のことを低体温症という。
症状は激しい震えや、判断力の低下などで、そのまま深部体温が下がり続けると、死に至ることもある。登山の遭難事故の死因でもしばしば見られるようだ。
●低体温症になるタイミング
深部体温が下がると起こる症状のため、標高の高い雪山で起こるのを想像する人も多いが、低山でも発症するし、条件がそろえば平地でも発症するのだ。
家出をした少年が帰る家がなく、街をさまよって、翌朝低体温症で亡くなっていたという話もあり、どんな状況でも油断は禁物だ。
●低体温症を防止するには?
濡れた状態で、風に当たり続けるような場合は体温を奪われてしまう。キャンプでも風対策のウインドブレーカーや、急な雨に備えてレインコートなどは常備しておこう。
また、暖かく過ごせるよう暖をとる道具は必須だ。今回の筆者のケースのように、キャンプサイトは電源付きばかりではないため、電気を使用しない暖房器具も揃えておこう。