今年も早いもので残すところ、あとひと月ちょっととなった。長く続いた暑さもようやくおさまり、過ごしやすい陽気になったと喜んでいる人はきっと多いことだろう。

 そう感じているのは水の中で暮らす魚たちも同じようで、冷水を好むトラウト(鱒)の釣果情報が各地の湖から聞こえてくるようになってきた。トラウトのルアーフィッシングが大好きな筆者にとっては、もう居ても立ってもいられないくらいうれしい季節である。

 今回はそんな筆者が秋になると楽しんでいる群馬県丸沼(まるぬま)でのトラウト&ワカサギの2種目釣りを紹介したいと思う。もし丸沼でのトラウトフィッシングが大好きで通っているけれど、朝夕のマズメ時以外の釣れない時間を持て余している人がいたらこの記事がきっと役に立つはずである。ぜひ参考にしてもらいたい。

■鱒釣りの聖地では、ワカサギ釣りも楽しめる

丸沼のワカサギは大変美しくとても美味しいと評判だ

 群馬県利根郡片品村(かたしなむら)にある丸沼は、標高1,430mにある堰止湖(ダム湖)である。明治末~大正期にはすでにフライ(西洋式の毛ばり)を用いた鱒釣りが楽しまれていたことから、釣り人たちの間では「鱒釣りの聖地」と呼ばれている人気フィールドである。

丸沼の釣りを管理する「丸沼温泉環湖荘(かんこそう)」。2023年に創業90周年を迎えた
秋の丸沼では北海道にいるかのような景色のなかで釣りが楽しめる

 現在、丸沼にはニジマス、ブラウン、イワナ、サクラマスなど野性味あふれるトラウトたちが生息しており、決められたルールのもと、ルアー、フライ、エサ釣りの三種類の方法で狙うことができる。

 そしてもう一つ、丸沼を代表する釣り物として忘れてはならないのがワカサギの存在だ。鱒釣りの聖地と呼ばれているだけにトラウトばかりが注目され、あまりその存在を知られていないが、丸沼は知る人ぞ知るワカサギの人気フィールドである。丸沼産のワカサギは容姿が大変美しく、とても美味しいと評判である。

■すき間時間にワカサギ釣りで満足度UP

秋の丸沼では10cmオーバーのワカサギが鈴なりに釣れることも珍しくない

 筆者は毎年秋になると、丸沼でボートからのルアーフィッシングを楽しんでいる。その日の湖の状況(天気や水温、風の有無など)の良し悪しによって時間は大きく変化するのだが、「今のこの状況では釣れる気がしない」と、釣りを諦めてしまう時間がどうしてもある。

 以前はそんな時にふて寝をしたり、早めの昼食をとったりして時間を潰していたのだが、それをとてももったいなく感じていた。どうにかして有意義に過ごせないかと考えた末に、今回紹介するボートからのワカサギ釣りを思いついたのである。

 トラウトの反応がある時はトラウトの釣りに専念し、状況が悪くなったら一時中断してワカサギ狙いに切り替える。こうすることで暇な時間をなくすという作戦である。

 しかしワカサギは湖のどこにでもいるという訳ではないので、ワカサギ釣りに切り替えたからと言ってすぐに釣れるものではない。あらかじめワカサギの群れがいるポイントを把握しておかなければならない。

 そのため筆者はトラウト狙いの時に魚群探知機を使って、ワカサギの群れも同時に探している。もし魚探に大きなワカサギの群れが映ったら、その場所を覚えておき、あとでその周辺を探ってみるという訳である。

ボートからルアーでトラウトを狙っているところ。この時魚群探知機でワカサギの群れも探している
ボートからのルアーフィッシングで釣れた丸沼のレインボートラウト
魚群探知機に映ったワカサギの群れ。トラウトを狙いながらこのようなポイントをいくつか探しておくといいだろう

 このトラウトとワカサギの二種目狙いを行うようになってからというもの、釣りをせずに呆けている時間はほとんどなくなった。一日を通してとても密度の濃い釣りを楽しむことができるようになったのである。

 ほかにも、魚群探知機に映し出されるトラウトとワカサギの映像から両者(食べる側と食べられる側)の関係を垣間見ることもでき、筆者にとって本命であるトラウト釣りのヒントを得られることも多いので、今はこのスタイルを大変気に入っているところだ。