■生態系維持への影響は!?  特定外来生物「レイクロブスター」

レイクロブスターが住む阿寒湖

 レイクロブスターは「ウチダザリガニ」と呼ばれる外来種のザリガニである。北アメリカ原産で日本には観賞用や食用として持ち込まれ、1930年に放流され摩周湖、その後に阿寒湖へ持ち込まれ自然繁殖した。

  在来種である二ホンザリガニに対する捕食が確認されてからは、2006年に特定外来生物に指定。その後、新たな放流や持ち込みが規制されているが、ニホンザリガニの生態系への影響が懸念され、阿寒湖では長年駆除対象としてされてきた。

 しかし、この厄介者を逆転の発想で観光資源として生かせないかと考え、食材として積極的にPRをおこなってきたのが阿寒湖漁業協同組合だ。

ハサミの大きさが特徴的な阿寒湖のレイクロブスター

​​■厄介者から観光資源へ

駆除対象だったレイクロブスターは、いつしか地元を代表する食材となった

 地元の人々は、この厄介者を地域の起爆剤にすべく、地元の飲食店と連携してレイクロブスターを使った料理の提供や、捕獲体験イベントの開催など、訪れる人々に阿寒湖の豊かな自然とレイクロブスターのおいしさを体感してもらう工夫を続けてきた。

 結果、今では全国のホテルや有名レストランからの引き合いがあるほどの食材として、高い評価を得るまで有名になった。厄介者のレイクロブスターは、地域に新たな価値をもたらす観光資源として生まれ変わったのだ。

 肝心の味はエビやカニに似た甘みと豊かな風味が特徴で、塩茹でやバターソテーなどの調理でさらに美味しさが引き立つ。殻から取れるダシも料理に深みを加えられる素材として重宝されている。 

​​​​​■レイクロブスターのおすすめの食べ方

食事処「海兵」で提供しているレイクロブスター

 ここでレイクロブスターの食べ方を紹介。地元の食堂「海兵」では、採れたてのレイクロブスターをシンプルに塩ゆでし、本来の風味を楽しめる形で提供している(税込1,100円、1皿6〜8匹)。

 また、筆者のおすすめは「レイクロブスターの味噌バター焼き」。塩ゆでされたレイクロブスターをテイクアウトし、自宅で簡単に味噌とバターで焼くだけで味わえる一品だ。

 ポイントは​​調理時に火を通しすぎないこと。適切な火加減で調理することで、レイクロブスターの柔らかいジューシーな身と、味噌とバターの豊かな味わいを最大限に楽しめるのだ。

食事処「海兵」 
住所 釧路市阿寒町阿寒湖温泉4丁目5-10
電話 0154-67-2057
時間 10:00から営業。季節や漁の状況によって変動
料金 塩ゆで 1皿6〜8匹 1,100円(税込)
参考 テイクアウト可
期間 4月下旬〜11月下旬
駐車場 あり