■朝廷の中枢を担った京都御所
御苑の中をさらに進めば、やがて京都御所に到着。南に位置するのが建礼門だ。
普段は開門されることがなく、天皇や皇后、外国元首級のみが通ることができる、もっとも格式の高い門である。
建礼門の前を通って御所を囲む塀の西側へ。宜秋門には観覧用の受付が設けられている。受付での手荷物検査はあるものの、京都御所は自由に観覧でき、しかも入場料無料なのだ。
順路に沿って歩くと、朱色も目に鮮やかな承明門。
門を越えると、南庭に面しているのが紫宸殿 (ししんでん)。紫宸殿は御所の正殿であり、かつては即位の礼や大嘗祭などの重要行事もこの場所で行われていた。
公家の屋敷に囲まれた京都御所は、天皇や皇后、中宮たちの住まいであると同時に政治の中枢でもあった。つまり、藤原道長らは御所で執務をし、中宮彰子に仕えた紫式部も御所で暮らしていた。
ただし、現在の場所に御所が定められたのは室町時代のこと。道長が通い、紫式部が住んだ平安時代の御所は1.7kmほど西にあった。その御所は1227年の大火で焼失。いくつかの臨時の御所(里内裏)を経て、1331年に現在の場所で光厳天皇が即位し、正式な御所となったのだ。
いまの御所の建物は、1854年の火災の翌年に再建されたもの。とはいえ、紫宸殿のほかにも清涼殿や小御所、御学問所などの建物や、御池庭、御内庭といった日本庭園も整えられ、いにしえの雅な情緒が満喫できる場所となっているのは、たしかなのだ。
(つづく)