■京都市中の水運跡と世界的メーカーの創業地
木屋町通をさらに北に進むと、通りに沿った高瀬川の上流には「一之船入(いちのふないり)」という荷揚げ場が再現されている。
高瀬川は江戸時代初期の1611年に開削され、京都市中と伏見の水運を担った運河だ。伏見は淀川水運の要所であり、伏見に集積した荷物や伏見でつくられた酒が、高瀬川を通じて運び込まれたのだ。
そんな一之船入の近くには、世界的な精密機器などのメーカーの創業地がある。島津製作所だ。
島津製作所は、明治時代の1875年に初代島津源蔵が設立。1888年と94年に建築された住居兼研究所の建物は現存していて、1975年に創業100周年を記念して記念資料館として開設されている。
ちなみに、島津製作所の社章は「丸に十文字」。これは薩摩藩の島津家と同じだが、初代島津源蔵は京都の出身で、島津家と血縁関係はないらしい。
(つづく)