■巨石の合間を登り、天然の石門をくぐり抜ける!
登山道を約25分ほど歩くと、乳岩峡の象徴である乳岩本体をめぐる登り口に着く。案内には時計回りで20分となっているが、この先は高度感のある急な梯子が続くので、慎重に上がっていこう。怪我防止のためにも滑り止めのついた軍手や、グローブなどを装備しておくと安心だ。
ここからは、岩の間を縫うようにしてかけられた梯子を上がっていく。急角度の梯子はゆっくり上がれば問題ないが、ふと後ろを振り向くとなかなかの高度がありスリル満点だ。先を行く人がいる際は、上りきってから続こう。
岩に架けられた梯子をクリアすると、今度は岩と岩の間にさらに岩が挟まったその隙間を抜けていく。間から差し込む光を見て「あんなところをくぐるのか!」と思わず冒険心がかき立てられる。巨岩や奇岩が好きな人にもたまらない登山道だろう。
梯子エリアを上りきると見えてくるのが、真ん中にぽっかりと穴があいて門のようになった天然の石門「通天門(つうてんもん)」だ。長い年月で侵食と風化を繰り返し、自然にできあがったと考えられている。門の先に見えるきれいな三角形の頂は「明神山(1,016m)」で、こちらも奥三河を代表する山だ。
こうして見ると、この門がここから明神山を眺めるために作られたようにさえ思えてくる。
■いよいよ乳岩峡シンボルの乳岩の内部へ
通天門を抜けて岩の周りを回ってくると、鉄製の階段が見えてくる。その階段の先に乳岩峡の一番の見どころ「乳岩洞窟」がある。
洞窟は高さ12m、幅18m、奥行き18mの洞穴。ドーム状になっており、圧倒的な岩天井の迫力に、思わず息を呑む。天井の岩の割れ目に沿って鍾乳石が下がっており、その形が乳房を思わせることから乳岩の名の由来になったといわれる。
■知る人ぞ知る奥三河の乳岩峡
奥三河地域は愛知県北東部にあり、1,000mを超す山々が幾重にも連なって美しい山並みを形成しているのだが、改めて懐の深い山域だと感じた。
乳岩峡のトレッキングは、初心者でも比較的短時間で回れるコースではあるが、木の根が張る登山道や岩場、梯子などの高所の通過には十分気をつけたい。足元はスニーカーより滑りにくい登山靴、ケガ防止のために軍手やグローブの着用が安心だ。
見どころが多く満足感のあるトレッキング体験ができるので、装備を整えてぜひ一度訪れていただきたい穴場的なスポットだ。