渓流や本流など自然河川の釣り場の多くが禁漁となる10月。釣り物が少ないと嘆く人は多いのではないだろうか。今回はそんな方に向けて、近所の河川で手軽に数釣りが楽しめる「カワムツ」のルアーフィッシングを紹介したいと思う。
ルアーでヤマメやイワナ、ニジマスなどを狙っていると、時おり釣れるカワムツ。普段は外道として扱われるちょっと不遇な魚だが、これを積極的に狙ってみると意外と面白く思わず熱くなってしまうのだ。この釣りをまだ経験したことがないという方は、この記事を参考にぜひ一度挑戦してもらいたい。
■関東&東北では、歴史の浅い魚
現在、カワムツは北海道を除く日本各地に分布しているコイ科の小型淡水魚。河川の上流~中流域や湖沼、さらには田んぼの脇を流れる用水路にも多く生息する身近な魚である。
本来は本州の中部より西の地域(四国・九州も含む)のみに自然分布していたとされるが、昭和の時代に盛んだった琵琶湖産アユの種苗放流などに混入して、関東・東北地方にも広まったとされている。
昭和の時代に群馬県で生まれ育った筆者は大の釣り好きで、子どもの頃には毎日のように近くの里川(アユ・ヤマメ・ウグイ・オイカワ・ウナギなどが生息)で釣りを楽しんでいた。そんな筆者が同じ里川で初めてこのカワムツを目にしたのは、平成(元年は1989年)に入ってからでわりと最近の出来事。里川でもカワムツは数を増やし、昔から生息しているウグイやオイカワと同じくらいによく釣れる身近な魚となっている。
もしかすると筆者のように昭和の時代に関東や東北地方で生まれ育ち、川釣りを楽しんでいたという人(大人になってからは釣りから遠ざかってしまった人)の中には、今現在、故郷の川にカワムツという見たこともない魚が数を増やしている事実を知らない人が意外と多いのかもしれない。
■ルアーで、手軽に狙えるターゲット
カワムツは水生昆虫や陸生昆虫、小型の甲殻類や藻類なども食べる雑食性の魚である。光るものや動くものに対して興味を示す性質があるため、ルアーにも果敢にアタックしてくる。しかも群れで行動することが多いため、数釣りが楽しめることからルアーフィッシングの対象魚として、近年注目を集めている。
カワムツは大きくても20cmほど(平均的なサイズは10~15cmほど)のため、使用するルアーはサイズ20~35mm(重さ2~3g)前後のスプーンが適している。
これら小型のルアーはトラウトのエリアフィッシング(管理釣り場でのマス釣り)で使用されているものを流用可能。もしエリアフィッシング用のルアーやタックルをすでに持っているならば、今すぐにでもカワムツ釣りを楽しむことが可能である。
ただし、カワムツはマスに比べて口が小さいため、マス用の大きなフック(釣り針)ではハリ掛かりがあまりよくない。これを改善するためには、より小さなフックに交換するといいだろう。