函館山といえば、「100万ドルの夜景」で有名な、函館の主要観光地として人気の場所だ。特に夜景が見られる夕暮れの時間帯以降はオーバーツーリズムが話題となってしまうほど混雑するスポットだ。

 そんな函館山の昼間は、観光客もまばらで混みあうほどの観光客はおらず、夜景とはまた違った魅力あふれる場所であることをご存知だろうか。函館山は展望台のある御殿山をはじめとした13の山々の総称であり、昼間は10種類の登山コースを周遊できる。特に函館山の「背中側」をぬって歩くコースは人も少なく「穴場」だ。

 今回は、函館山の背中側にあたる「千畳敷コース」を地蔵山方面に抜け、南側にある「立待岬(たちまちみさき)」へ抜けるトレッキングコースを紹介する。遠くに函館市街地を見下ろしながら、山中にある戦争要塞跡地をめぐり、ゴールの立待岬では雄大な津軽海峡を一望できる。まさに「絶景トレッキング」となっているので、函館山の新たな魅力を存分に知れるはずだ。

■つつじ山駐車場から登山コースへ!  観光客のいない穴場ルートコース概要

千畳敷からは函館市街地と函館山展望台どちらも見渡せる(国土地理院地図より引用)

 スタート地点は、函館山(御殿山)の展望台。展望台までは、歩いて登ってもいいし、ロープウェイを利用してもいい。

 函館山展望台周辺の「つつじ山駐車場」奥から「千畳敷コース」に入り、「御殿山第二砲台跡」へ。その後、八幡山・牛の背山を縦走する登山道を経由して休憩所のある「千畳敷広場」へ行ったのち、登山道コースに面する広場からみて奥(南側)に位置する、なだらかな斜面を登った先にある「千畳敷戦闘司令所跡」へ。

 千畳敷からは「地蔵山コース」を経由し「七曲コース」を下り「立待岬」へ至る、という感じだ。総距離は約5km、所要時間は約1時間程度となる。

 函館山に来る観光客のほとんどは御殿山展望台目当てで、車やロープウェイで山頂にアクセスする人が多い。つつじ山駐車場から登山コースへ入ると人はほとんどいないので、混雑に悩まされることはほぼない、まさに「穴場」と言えるスポットだ。

【昼の函館山の戦争要塞をめぐる絶景トレッキングコース】所要時間
函館山ロープウェイ山頂駅 (0:00) →つつじ山駐車場(0:05) →御殿山第二砲台跡 (0:07) →牛の背見晴所 (0:27)→千畳敷戦闘司令所跡(0:37)→地蔵山見晴台(0:42)→七曲コース出入り口(0:55)→立待岬(1:00)
歩行距離: 約5km
累積標高差: 登り 110m、下り 403m
合計所要時間: 1時間00分

■函館山展望台からつつじ山駐車場へ

函館山展望台には平日昼間でも観光客の姿が。眼下には函館市街広がる

 函館山展望台から千畳敷コースへ入るためには、「つつじ山駐車場」へ向かわなければならない。函館山ロープウェイ山頂駅からつつじ山駐車場へは、徒歩でおよそ5分の距離だ。山頂駅付近には市街地全体を見下ろせる展望台や山頂広場があり、晴れの日には昼でも絶景が広がっている。山頂広場には「函館山」の石碑もあるので、トレッキング前に記念撮影をするのもおすすめだ。

 函館山頂展望台周辺は車道が螺旋状に延びており、山頂広場から車道を下っていくこともできるが、歩道がなかったり、狭いところが多いためおすすめできない。

 山頂広場裏手の展望台駐車場に回ると、公衆トイレの先から歩行者用の階段が延びているので、そこからつつじ山駐車場に行くことができる。

 千畳敷コースへ行くには、このつつじ山駐車場の奥を通り、公衆トイレ隣にあるゲートから入ろう。関係車両以外は進入禁止となっており、一見看板や標識などで封鎖されているように見えるが、歩行者は通行可能だ。

つつじ山駐車場の奥には頑丈なゲートがあるが、歩行者は通行可能だ