子どもを連れてのテント泊登山は、着替えや食料(おやつ含む)、シュラフやテントといった宿泊日数分の準備も含めてなかなかハードルが高い。我が家では、半日程度の日帰り登山から始め、八ヶ岳の青苔荘(せいたいそう)や大菩薩嶺(だいぼさつれい)の福ちゃん荘でのテント泊など、毎年、少しずつ歩行時間を延ばし、荷物も増やし、標高の高い山へとステップアップを重ねてきた。ある年の10月の土日に、当時小学5年生(11歳)と幼稚園年長(5才)の息子2人を連れて、硫黄岳(いおうだけ)へ1泊2日の登山に出かけたときの様子を紹介したい。

 硫黄岳は、長野県と山梨県にまたがる八ヶ岳連峰にある標高2,760mの山だ。山頂からは巨大な爆裂火口が見られ、迫力ある景色を楽しめる。山深い場所にありながら、山頂までのコースタイムが最短で約3時間。登山経験の多い人であれば、日帰りで登ることもできる。

硫黄岳にある爆裂火口

 この山を選んだ理由は、登山口からテント場があるオーレン小屋までのコースタイムが1時間30分と、我が家の登山経験と体力的なところでちょうどよいと思ったからだ。

 さらに登山口駐車場にはトイレがあり、コース途中にも夏沢鉱泉(なつざわこうせん)という山小屋があり、休憩にも便利。オーレン小屋も売店や水洗トイレと十分な設備があり、綺麗な天然水も湧いているため安心して利用できる。ちなみにオーレン小屋から硫黄岳までのコースタイムは1時間35分だ。

■1日目、桜平駐車場からオーレン小屋へ

夏沢鉱泉までは林道が続く

 当日は午前5時半頃、桜平駐車場(中)に到着。仮眠後、持参したおにぎりで朝食を済ませて、8時頃出発した。子どもたちは眠くあまり元気が出ないのか、ゆっくりとしたペースで林道を歩き始める。駐車場から登山口までは15分、そこから夏沢鉱泉までは30分かかった。

登山道に沿って小川が流れ、心地よい音が聞こえた

 夏沢鉱泉あたりから本格的な登山道が始まる。急な登りや道幅が狭いところもあるが、しっかり整備されている。次男はゆっくり歩いていたため、体力がある夫と長男は、先にオーレン小屋へ向かってもらうことにした。

 次男は身体が温まってくると、ほんの少しだがペースを上げてきた。登山道脇に広がる苔むした森や所々にある滝を眺める余裕も。「今日行くキャンプ場って、どんなところだろうね?」と初めて行く小屋が楽しみのようだった。

オーレン小屋からは硫黄岳への稜線が見える

 オーレン小屋には10時40分に到着した。小屋のテント場では、先着順であらかじめ設置されたスノコが使用できる。運よくスノコの上にテントを張ることができた。

 昼食は朝食と同じく持参したおにぎり、パン、インスタントラーメンなどを食べ、午後はレジャーシートに寝そべったり、おやつを食べたりとのんびり過ごした。この間に無洗米を使って、夕食と翌朝用に2合分のご飯をコッヘルで炊いた。 

テント場は最大で100張ほどテントが設営できる

 我が家では登山時の夕食は鍋と決めていて、前日に自宅でキャベツやもやし、鶏もも肉などを炒めたものとうどんを保冷バッグに入れて持参。あらかじめ炒めておくことで野菜のカサが減って持ち運びしやすくなる。これに市販のスープの素を入れ、数分温めるだけで出来上がる。