7月18日、関東甲信では気象庁による「梅雨明けしたと見られる」との発表がなされた。6月から7月にかけて、日本アルプスなどの高山の上では雪が溶け、山頂までアクセスしやすくなる。梅雨雲が去ってからは本格的に夏山シーズンの開幕だ。

 今回は2023年6月中旬の梅雨の晴れ間に、北アルプスの蝶ヶ岳(ちょうがたけ・標高2,677m)に登って、「蝶ヶ岳ヒュッテ」のテント場で1泊2日テント泊をして、絶景を楽しんだ様子をレポートする。

■蝶ヶ岳とは

 蝶ヶ岳は、北アルプスの常念(じょうねん)山脈の南部に位置する山だ。春先に雪が溶けると、蝶の模様が安曇野側の山肌に浮かびあがることからその名が付いている。

 北アルプスの中では比較的登りやすく、山頂から槍・穂高連峰を望む大パノラマの絶景が見られることから多くの登山者を魅了している。

 また、山頂周辺は高山植物の宝庫となっており、高山植物の女王であるコマクサをはじめ、色とりどりの花々を楽しむことができる。

■「ゴジラの木」のある三股ルートでアクセス

三股登山口から蝶ヶ岳山頂を目指す(撮影:酒井 天里)
三股ルートの登山道にあるゴジラの木(撮影:酒井 天里)

 今回筆者は、蝶ヶ岳まではいくつかあるルートの中で「三股ルート」を選択した。三又ルートは近年おおがかりな整備が行われたため、ルートの中では最も登りやすくなっている。山頂までは約5時間の道程だ。

 三股駐車場に車を停めて、林道を10分程歩くと三股登山口に到着する。登山口にはトイレと登山届けを提出できる小屋があるので、どちらも済ませておこう。

 登山道に入るとすぐに蝶ヶ岳と常念岳の分岐があるので、間違えないように。色鮮やかな緑に包まれた気持ちのよい登山道を進んでいくと徐々に急勾配へと変わっていく。

 30分程歩くと「ゴジラの木」と呼ばれる枯れ木が現れる。日本各地にはゴジラの名が付けられた景勝地がたくさんあるが、ここはその中でもクオリティが高いと感じた。

三股ルートの蝶沢は雪渓となっていた(撮影:酒井 天里)

 その後も登山道を黙々と進んでいくと、3時間程で「蝶沢」に到着する。三股ルートで唯一雪渓を横切るポイントのため、チェーンスパイクを装備して慎重に進んだ。

 距離は短いが、梅雨明けまでは雪解けが進み雪崩の危険性が高まるため、安全を確認したうえで通行しよう。最新の登山道の状況については蝶ヶ岳ヒュッテのホームページ等で情報を確認してほしい。

【蝶ヶ岳ヒュッテ】https://chougatake.com/