■広大なお花畑が続く五色ヶ原へ
沼ノ原を越えると歩きやすい木道から通常の登山道に変わり、一旦下って五色の水場へ。そこから再び急登が待っている。ここから先の登山道は所々崩壊が進んでおり、歩きにくい箇所もあるので、雨などで濡れているときは特に注意が必要だ。
急登を登り切ると所々で木道が設置されているが、この木道も崩壊している箇所が多い。そして緩やかに登っていった先が五色ヶ原。大雪山系にはいくつもの広大なお花畑が広がる名所があるが、この五色ヶ原もそのひとつ。一般的な旭岳~トムラウシ山の縦走では通らないため、クチャンベツルートで来るか、縦走路から寄り道して見に来る人もいる。
■展望に優れた五色岳から忠別岳へ
五色ヶ原を登り切ると、五色岳(1,868m)の山頂。あまり顕著なピークではないので、どこが山頂なのか微妙な山だが、ここで旭岳~トムラウシ山の縦走路に合流する。山頂に到達した感は薄いが、展望がよい山頂なので、景色を楽しみながら休憩するには最適な場所だ。
ここからトムラウシ山方面に進めば化雲岳(かうんだけ・1,954m)、旭岳方面に進めば忠別岳(ちゅうべつだけ・1,963m)がそびえている。忠別岳方面に一旦下ると、忠別岳避難小屋・野営指定地との分岐があり、そこから1時間ほど登れば忠別岳にたどり着く。
■至上のひとときを過ごせる! 大自然の中でのテント泊
忠別岳からは避難小屋分岐まで戻り、さらに10分ほど下ると忠別岳避難小屋が見えてくる。テント場はさらに50mほど下にある。例年遅くまで残る大きな雪渓がすぐ横にあるので、通常夏までは水場の心配は無い。
健脚者なら日帰りも可能な距離だが、山の中で1泊することで時間に余裕を持った山行ができる。なにより、大雪山系の核心部で過ごす一夜というのが趣深い。
大雪山系にはいくつもの入山口があり、それらをうまく使った縦走ルートは無数にある。今回のクチャンベツ~沼ノ原ルートは大雪山系の中心部に足を踏み入れる、大自然満喫のルートだ。同じルートから入山して宿泊地をヒサゴ沼避難小屋・野営指定地にするというのもよい。いずれにせよ避難小屋はスペースが限られ、予約もできないのでテントは必ず持参しよう。