広大な大雪山系のど真ん中とも言える核心部に最短距離でアプローチできる、層雲峡本流林道が今年は開通した。沼ノ原湿原を通り、五色岳(ごしきだけ)へと至るルートは大雪山系の中でも独特の景観を誇る人気のルート。今回は、山中1泊で忠別岳を目指すルートを紹介する。

■閉鎖も多いけれど、人気のルート! 層雲峡本流林道

林道終点の駐車スペース。トイレも設置されている

 スタート地点となるクチャンベツ登山口は層雲峡本流林道の終点にある。この全長8.8kmの林道は、以前から豪雨災害のたびに長期間復旧工事のため閉鎖されてきた。過去10年でも復旧と閉鎖を繰り返し、閉鎖期間の方が長いくらいだ。昨年も復旧工事のため1年間閉鎖されていたが、今年は夏山シーズン開始とともにゲートが解放された。

 ロープウェイなどで楽ができるルートではないが、ダイレクトに大雪山系の大自然の中に分け入っていくルートなので、大雪山系に行き慣れた人が何度も訪れる人気のルートだ。

■湖沼を縫うような木道歩き! まずは沼ノ原湿原へ

沼ノ原最大の湖沼、大沼。湖畔が野営指定地となっているが、大雨の際は水没するので注意

 クチャンベツ登山口を出発し、しばらくは展望のない樹林帯を進む。次第に急登となるが、しばしの我慢で登り切れば沼ノ原湿原に到達する。その景色の変化は劇的で、急登の疲れが一気に吹き飛ぶ。大小様々な湖沼を縫うように木道が設置されており、湿原ながら靴を濡らす心配の無い歩きやすい道だ。

 しばらく進むと大沼が現れるので、湖畔で一休みもいいだろう。この大沼は野営指定地にもなっているので、ここを宿泊地にするというプランもおすすめだ。今回はさらに先の忠別岳避難小屋・野営指定地まで進む。