■北岳トラバース道付近に群生発見

北岳山頂直下のトラバース道(撮影:鶴岡 亜矢子)

 北岳山荘から北岳方面へ向かうトラバース道付近にキタダケソウ群落があると聞いていたが、やはりそのとおりだった。

 「道」とはいえ、崖のような斜面にどうにか道が作られていて、かなり怖いし、壊れていて通れない年もあった。それでもこの道から愛でるキタダケソウ群落は、天空の花畑のようでものすごく美しい。

キタダケソウ群落(撮影:鶴岡 亜矢子)

 雪が消えた斜面に、ハクサンイチゲとともに群落を作っている。どちらも同じ白で、最初は見分けるのが難しかった。

 花びらと葉の形に違いがあるのだが、見慣れるとすぐに見分けがつくようになった。

フリルのついた葉にフリルのあるふわっとした花弁が特徴(撮影:鶴岡 亜矢子)

 キタダケソウの葉はフリルがついており、何枚も重なってこんもりとしている。また、花弁の先端が一枚一枚が広くふわっとしているのがキタダケソウだ。

 こんな綺麗な可憐な花が夏の始まりにわあっと咲いて、すぐに姿を消してしまう。

 長い登山道、そして長い雪渓登り、過酷な登山を経験してやっと見られる、奇跡の群落だ。