皆さんは写真ではなく、肉眼で雲海を見たことがあるだろうか?  普段、下から見上げる雲は貴重なものではないが、広がる雲を上から見ると「雲海」と名がつき、貴重なものとなる。雲が大海原のように広がるその光景を目にすると、「雲海」の貴重さ、美しさを実感することができるだろう。

■雲海の美しさと魅力

阿蘇方面(大分県)を埋め尽くす雲の海

 山頂から地平線(雲平線?)の先まで雲が広がり、ところどころ高い山だけがポツポツと見えるのが雲海の景色である。眼下に白い海が広がる光景は、非現実的で幻想的ですらある。

 幻想的な雰囲気を醸すもうひとつの理由は、雲海が見える場所で「音がない」ことである。山によるが、山頂では車の音が聞こえない。道路が遠いこともあるが、雲が下界の音源にフタをして無音状態を作り上げるのである。

 後述するが、雲海が見られる条件のひとつに風がないことが挙げられる。風のない山頂、さらに雲海が見られる早朝は人が少なく、耳鳴りがするほどの静寂を得られるだろう。

 時間によっては雲海の端から太陽が昇り始める瞬間に臨むこともあるだろう。橙色に染まる雲から段々と色がなくなり、白色一色になるのを眺めるのも一興だ。