■スタートは立山、室堂から

立山・室堂での軽快な滑り

 日本オートルートは通常4日~5日かけて走破する、日本屈指のロングルートだ。山小屋が利用できない今となっては、行程や宿泊地に決まりがある訳ではなく、それぞれのペースや目的で決めることができる。今回は筆者が2024年の4月に実際に行った行程を紹介する。

 まず初日は富山県の立山、室堂までの移動。富山県側からは立山町からバスで、長野県側からは電気バスやロープウェイを乗り継いで、標高2,450mの立山室堂まで移動することができる。乗り物移動だけでも半日近くかかるので初日は室堂山荘に宿泊。午前中に移動して宿に入った後、足慣らしを兼ねて軽装備で立山の主峰である雄山(3,003m)へ登ってひと滑り。2日目は日の出前の朝4時に出発。長い行程となるので余裕をもって目的地に着くために早出を心がける。この日の移動は4回ほど登りや滑りを繰り返し、16時にスゴ乗越到着。12時間の長丁場だった。

■雷鳥たちが闊歩する薬師岳を越えて

薬師岳に向かう途中に出てきた雷鳥

 3日目は朝6時30分出発。朝の準備には時間がかかるのと昨日の長時間行動の疲れもあったので、この日の行程は短めに設定した。スゴ乗越から薬師岳までの稜線は人気の少ない静かな山域だが、そのせいもあってか雷鳥の姿が目立った。この日は百名山でもある薬師岳(2,926m)まで登り、太郎平までのロングスキー滑走で早めの終了。天気がやや不安定な日だったので短い行動が丁度良かった。

 4日目は再び早出の朝4時出発。1日の好天が確実な日だったので、一気に双六まで移動する。月明かりのスタートから徐々にいろづいていく空の色。幻想的な景色を楽しみながら、黒部五郎岳(2,839m)を通過する。雄大な黒部五郎カールのスキー滑走はこの日一番の大斜面。日本オートルートではスキー滑走後にある黒部五郎冬期避難小屋を使うことが多いが、今回はさらに足を伸ばし双六岳(2,860m)まで移動。途中、大休憩をはさみながらも17時過ぎに到着。