新潟県と福島県の県境に位置する山奥の人造湖「銀山湖(奥只見湖)」。標高約750mで、環境的にも冷水性のトラウト(マス)類の生息に適しています。かねてより太公望たちに人気のエリアです。サクラマス、イワナ、強烈な引きで釣り人を唸らせる大型のトラウトたち。見事ネットに迎え入れることができれば、その精悍な面持ちと迫力の魚体に感慨もひとしおです。

 その一帯が待望の解禁(※4/21からは陸釣りの解禁。4/28からはボートによる釣りも解禁)となった4月21日は、おりしも日曜日。まだ規制のかかるシルバーラインのオープンは朝6時です。当日は釣り人だけでなく、「奥只見丸山スキー場」へ向かう人たちや越後駒ヶ岳方面への登山やバックカントリーへ向かう人たちが、次から次へとゲートを通ってトンネルへと入っていきます。

 約半年以上、釣り人のプレッシャーがなかった魚たちを狙って、北ノ又川に架かる石抱橋の下流は多くの釣り人で賑わっていました。まさに釣り糸がオマツリ(お互いの仕掛けが絡まる事)しそうなほどのお祭り騒ぎでした。橋の上から覗くと、悠々と流れに身を揺らす大型の魚影が見えます。

※採捕数5匹までの制限あり。北ノ又川石抱橋上流は禁漁。

 一方、銀山湖では朝一番にはワカサギが接岸していたようで、それを捕食しようとトラウトたちが岸まで寄ってきている様子が確認できたそう。この時期は車両の通行止めと水位が下がっているために湖面までは徒歩で歩く労力が必要です。頑張って歩いた人の中には、いい魚と出会えたという話も聞きました。後日写真も見せていただきましたが、この一本が釣れるなら! そう思わせてくれる見事な銀山湖サクラマスでした。

 (筆者も含め)例年より釣果が得られなかった釣り人も多そうでした。しかし、釣りのシーズンはまだ始まったばかり。銀山平周辺の木々も芽吹きの新緑の季節を迎えようとしています。美しい森と清らかな流れを遡上する魚たち。28日からはボートに乗って釣りもできるので、さらにチャンスが広がります。広大な湖に豊富にストックされている魚たちと出会えるのは、むしろこれからですね。釣り人はいつも楽観的で夢見がちなものです。